ニューロマーケティング
作話とインタビュー方法の関係を考えていて2年ぶりに「Sideswipe」のアドベントカレンダー24日目を読みなおした。 分離能患者の例。脳梁を切除した患者の左視野(右半球で処理される)に「歩け」というカードを見せると、患者は席を立って部屋から出て行く。「…
アイトラッキング分析を体験したマーケター、リサーチャーは多いと思います。 一方で、脳波データを取得して分析した体験のある方は少ないかと思います。 そのいずれもデータは取得できたが、どう分析・解釈できるのかがよくわからない状態だったのではない…
『記憶のしくみ』ネタ。下巻p143からエビングハウスの錯視は、大きい丸に囲まれた中心の丸と同じ大きさの丸が、前者よ比較的小さい丸に囲まれた場合では、大きさが違って見える。(小さい〇で囲まれた方が大きく見える)ことをいうらしい。 ここで、さらに…
ブルーバックスの『記憶のしくみ』上下をやっと読み終わった。 最初は復習的でわかりやすいとおもっていたが、なかなか手ごわかった。 記憶には陳述記憶と非陳述記憶があり、それぞれ違った「しくみ」を持っている。 陳述記憶は意識的な「想起」を非陳述記憶…
『ココロの盲点』池谷裕二の認知バイアスの第一番目に「利用可能性ヒューリスティック」があげられている。ヒューリスティックは、カーネマンの言う「システム1」の思考・行動で、反応が早い。 その分、論理性を犠牲にするので「間違い」やミスが入り込みや…
『ココロの盲点』p16〜19 に「情報フレーミング」が出ている。池谷さんの事例は、ダイエット中の人が「赤身75%」のひき肉と「脂身25%」のひき肉とではどちらが選ばれやすいかという設問で、どちらも同じ中身なのに「赤身75%」の方が選ばれやすい。…
『ココロの盲点』p40〜43 ハロー効果ハロー効果は「人は見た目が〇〇%」ということである。 この本では、美人が窃盗を犯した場合は「(あんな美人が盗むなんて)何か理由があるんだろう」と罪が軽くなるのに対して、同じ美人が詐欺罪でつかまると「天賦の…
『ココロの盲点』池谷裕二p24〜 にバンドワゴン効果という認知バイアスが載っている。このバイアスはグループインタビューでしばしば、観察できる。 グループインタビュの場そのものが、いわゆるバンドワゴンの典型ともいえる。 ある商品・ブランドを使って…
池谷裕二『ココロの盲点』p68〜p71に変化盲と選択盲が取り上げられている。インタビュー調査で問題にすべきは選択盲であろう。 変化盲は単なる「錯覚」でよいが、変化盲は分析結果にしばしば影響を与える。 例えば、コンセプトPQの一対比較のインタビュ…
レパートリーグリッドはパーソナルコンストラクトを明らかにする方法で3組比較法を使うので膨大な手間(と費用)がかる。 そこで、評価グリッド法ではコンストラクトを「よい」「好き」「買いたい」などの評価表現に限定して行う。 マーケティング的に考え…
アイトラッキングが捉える視線の動きは上丘がコントロールしている。 上丘からの司令が外眼筋を動かしたり、頭(顔)の方向を制御している。 もちろん上丘は網膜からの情報に反応するので視覚と視線の動きに齟齬は生まれない。 網膜上で右から左に急速に動く…
安西祐一郎『心と脳』岩波新書 直接対話とWebコミュニケーションとの違い5つ。1.コミュニケーションの中での知覚情報の違い。 直接対話=表情、声、ジェスチャー、周囲の環境などを直接知覚して総合できる Web=ある時間や空間で切取られた視覚と聴覚…
BLUE BACKS『人はなぜだまされるのか』を読んでいて表題の注意の違いがあることを知りました。 ちょうどアイトラッキング調査のことを考えていました。 何を考えていたかというと、 トラッキングデータでは視線がそこに集中しているのにインタビュ…
人間が「安定的な関係を保つことができる認知的上限数(人数)」のことをダンバー数という。 その数は上限150人で100人くらいが現実的な数値らしい。(wikiでは上限ではなく平均値としているが) SNSによって、世界中の誰とでも仲良しになれるはず…
次回のアウラセミナーではアイトラッキングを取り上げる予定、ということで読んだ古賀一男『知覚の正体』河出ブックス。 眼球運動一筋に研究したロシアのヤーバス(初めて聞いた)が60年も前に『眼球運動と視覚』という本を出版していた。 現在のアイトラ…
プロービングの方法のひとつになるかと思い、アイトラッキングをやってみた。 アイトラそのものが目的ではなかったのでインタビュー中で「ちょこっと」やった程度である。アイトラッキングの装置、機械は費用が高い割には「分析しやすいデータ」を提供してく…
理研BSIのプレスリリースに以下のような記述がありました。新しい迷路を学習しているマウスの海馬で神経回路パターンが学習の時間順序に従って特異的な発火パターンを示すらしい。このパターンの観察からそのときマウスがどこにいたかを研究者は特定でき…
「脳の可塑性と記憶」塚原仲晃(岩波現代文庫)を読んだ。 1987年の出版だから20年以上前の本で、解説でも「その後の脳科学の急速な発展」とあるが、読んでみて最先端の内容という印象しかない。 脳科学はそれなりにフォローしてきたつもりだったが、…
藤井さんシリーズ。 ヒトの脳の重量はサルの4倍あるそうだ。それなのに脳に流れ込む血流量は2倍くらいしかないらしい。常に燃料不足の状態にあるため、脳は省エネ活動に熱心らしい。 低コスト・低燃費で最大の認知力を生み出す方法のひとつがパターン化さ…
藤井直敬さんの新書「ソーシャルブレインズ入門」から。p104あたり。 赤ちゃんと母親をビデオでつなぎ、音声を画像と時差なしで送った場合と数百ミリ秒遅らせた場合で赤ちゃんの反応が変わるそうです。(開一夫さんたちの実験) 時差があると赤ちゃんが…
リンデン本。「つぎはぎだらけの脳と心」の続き。 ヒトの記憶はコンピュータのメモリーのようにはいかない。もっと柔軟であるというか「いいかげん」らしい。記憶を攪乱させる要素として混乱、暗示、書き換えの3つがあげられている。混乱は、記憶の中に正し…
リンデン「つぎはぎだらけの脳と心」によると進化の過程でヒトの脳はソフトクリームのコーンの最下部に延髄を入れ、その上に小脳・中脳、大脳周縁系を乗っけて、最上段に大脳皮質を乗っけていって現在に至っているらしい。このソフトクリームの3層の設計思…
直井さんの本シリーズ。サルの関係性の実験(それを多次元生体情報記録手法=MDRで記録)から下位と認識した弱いサルが自分の行動を抑制すること、そのことを上位の(強い)サルに伝える(非言語メッセージ)ことが社会性の発生の根本であると主張してい…
直井さんの本にショッキングなことが書いてあります。 ヒトを含めた動物が学習したり、社会行動をとる時に重要な「サルまね」神経細胞ミラーニューロンがファンタジーではないかとおっしゃってます。 ミラーニューロンは、 ・他者の意図を推定する働きがある…
藤井直敬さんは「つながる脳」の序章で、現在の脳科学の進歩は踊り場状態にあり、藤井さん自身は脳科学の出口が見えないと悩んでいるとおっしゃっています。 その藤井さんが想定している出口は「ブレイン・マシン・インターフェース(BMI)技術の進展で脳…
池谷裕二さんの「記憶を強くする」(ブルーバックス)を読んだ。脳科学の本は何冊か読んでいたし、自分では記憶とか意識の発生の仕方はある程度「科学的」な理解ができたつもりでいた。 この本は2001年出版で、池谷さんの最初の本だそうだで、非常にわか…
ブランド認知の意味を考えていて、消費者がブランドを認知する認知の仕方にどんなものがあるだろうと検討してみることにしました。消費者行動モデルのAIDMAは広告を認知のきっかけと想定しているようです。広告を見て広告が訴えているブランド名を知っ…
我々は日常的に認知というコトバを使います。 ブランド認知をあげる、認知率の低い(高い)ブランド、認知のないブランドは買われない、などマーケティングではキーになるコトバです。 さらに、認知は純粋(非助成)想起と助成想起で聞く、認知に関する質問…
創刊された河出ブックス。坂井克之さんという「認知神経科学」という分野を研究されている方の本です。その中でニューロマーケティングへの批判が展開されています。最もこの人は脳科学の安易な使い方全てに疑問を呈しているのでマーケティングだけがやり玉…
「視力を取り戻した男の奇跡の人生」とサブタイトルにあるように実話の感動物語ですが視覚(見ること)の意味とシステムについてのおもしろい科学記事として読めます。 主人公は3歳までは健常で、化学薬品の事故で失明します。そして、46歳の時角膜移植に…