2012-01-01から1年間の記事一覧

サンプルからスウォームへ

マーケティングリサーチの対象者を考えた時、おおよそ以下のように分類できそうである。サンプルの時代 野生状態 モニターの時代 放牧の始まり コミュニティの時代 飼育方法の研究 スウォームの未来 野生を野生のまま扱うサンプルの時代とは標本抽出理論が確…

優秀な戦士と若者のクルマ離れ

若者のクルマ離れについて少し考えていた。 誰もはっきり定義しないが、ここで言う若者は18歳から29歳までの独身男性くらいの範囲であろう。 この若者たちがクルマに関心をなくし、背伸びして、年収に匹敵するほどの金額をクルマに投資しなくなったのでクル…

消費の自由・満足・幸福

ブランド選択の自由は消費の満足度、幸福感を向上させる。 いつでもどこでもたくさんのブランドの中から自分の制約(趣味嗜好、所持金、など)だけを考えてどのブランドでも選択できる「自由」こそが消費生活の満足、幸福感を高める重要な要素である。 この…

選択の自由から選択の恐怖

消費者がブランド選択(スーパーで歯ブラシを買う)する場面で選択肢が多い方が幸福感や満足感は大きくなる。買うときは1本の歯ブラシを選ぶだけだが、買わなかった数10本の歯ブラシも幸福感や満足感に貢献する。 だから、品揃えは大切なマーケティング要…

レパートリーグリッド法は「発展」したか?

レパートリーグリッドはケリーのパーソナルコンストラクト理論に基づいて開発された面接手法である。パーソナルコンストラクト理論は心理学、特に臨床心理のために開発されたものだから、カウンセリングの現場で活用できる。 臨床だからクライアント(患者)…

脳科学的ラダリング解釈

レパートリーグリッドはパーソナルコンストラクトを明らかにする方法で3組比較法を使うので膨大な手間(と費用)がかる。 そこで、評価グリッド法ではコンストラクトを「よい」「好き」「買いたい」などの評価表現に限定して行う。 マーケティング的に考え…

評価グリッド法の実査

レパートリーグリッド法では3個組法が使われるようである。(本格的なレパートリーグリッドの体験はない) 3個組法とは、例えばエレメント(商品でも写真でも)が6つあったとする。 その中から3個を取り出して似ている2個と2個から離れた(似ていない…

パーソナルコンストラクト理論

讃井さんが評価グリッ法を開発するまでは、レパートリーグリッド発展法といわれていました。 発展法をとったレパートリーグリッド法がその元祖になりますが、元祖の基礎理論が1955年(ふるい!)にKellyという心理学者が提唱したパーソナルコンストラク…

すべての消費行動は「反射」である

マーケティングの世界ではよく「最寄品」対「買回り品」、「非熟慮型消費」対「熟慮型消費」に商品や消費行動を2分する。 前者は習慣的なブランド選択が行われ、リサーチしても選択理由はよくわからない場合が多くリサーチャー泣かせである。 後者は商品の…

カタカナで呼ばれる

網野善彦『日本の歴史を読みなおす(全)』筑摩文庫がおもしろい。 第一章で文字の歴史について語っている。 カタカナ(片仮名)は15世紀くらいまでは神仏とかかわりをもち、しかも口頭で語ることにかかわる場合に用いられたとある。 神仏への起請文、神仏…

MROCの報告書

だいぶ昔になるがある化粧品メーカーの研究所の人に「これ、どうやって分析できそう?」と渡されたのが、アットコスメというサイトのダンプリストであった。(@cosmeがスタートしてすぐの頃だと記憶) コンピューターの連続用紙2箱くらいあったと思う。 担…

アイトラでゲーミフィケーション

アイトラッキングの被験者になる体験も貴重である。 我々リサーチャーは、機械を疑う態度で望むのでなんとか「騙してやろう」という視線の動きになる。 わざと斜視のように覗いてみたり、関係ない(例えば画面の外側)方向を見たりしてみて通常の被験者らし…

上丘への情報が分離できたら

アイトラッキングが捉える視線の動きは上丘がコントロールしている。 上丘からの司令が外眼筋を動かしたり、頭(顔)の方向を制御している。 もちろん上丘は網膜からの情報に反応するので視覚と視線の動きに齟齬は生まれない。 網膜上で右から左に急速に動く…

MROCのキモ

なんとなくその効能がわかりずらいMROC。 字面を追っていて気づいたことは「キモ」はコミュニティだということ。 マーケティングリサーチはもちろん、オンラインも手垢にまみれた表現。そんなこといえばコミュニティもそうであるが、そのコミュニティが…

ニーズはとかくルーズになりがちである

原研哉さんのコトバである。 マーケティングの世界でニーズというと消費者ニーズである。 消費者が何を望んでいるか、今、やっていること、これからやろうとしていることが消費者の望んでいることなのか、はマーケティング関係者にとってなかなか理解・納得…

林知己夫『調査の科学』

ちくま学芸文庫から出ていた。 ブルーバックス版より値段が高いが仕方ない。 電子書籍が普及すればこういった古典が読みやすくなるのになと思った。読んで気づいたことのひとつにSCIという調査(今は名称が変わったらしいが)が非常に堅牢に設計された調…

画像データ付きインタビュー

アウラセミナーで実験的に観察調査を行った。 何が実験的かというと店頭観察調査の調査員(対象者)にカメラを組み込んだメガネをかけてもらって店内を観察してもらった。 その後のインタビューを画像を再生しながら行った。 テーマは近所のコンビニ2店舗の…

「対象者は見た」これからのマーケティングリサーチ

つらつら考えているうちに「調査対象者から見た」マーケティングリサーチの変遷と将来、という視点があるとひらめいた。 で、つぎの3つの時代に分けてみた。 ?サンプルの時代 ?モニターの時代 ?複雑系の時代 である。 サンプルの時代はすでに過去となり、今…

ゲーミフィケーションによる実験的モデレーション

グループインタビューの対象者の3つのアポリア ?自分の生活(行動)に意識的ではない ?意識できても表現力がない ?(他人の前で)正直に表現するとは限らない について教えてくれたのは油谷遵さんだった。 この3つのアポリアを突破して生活者の心理分析を…

ダメな男

グループインタビューでそのグループの雰囲気を作る速さと深さは圧倒的に女性の勝ちで男性は完全に負けている。 小学校高学年から60代くらいまでの年齢層で男は勝てない。 20年くらい前は中学生までくらいの間と社会人になりたての頃だけ男が勝つ時期が…

役に立たないマーケティングリサーチ?

前回の続き「悪意のあるレポート」でウチを切り捨てた当のクライアントさんの動きをしばらく追いかけたが、リサーチしたコンセプトの商品やそれに似たコンセプトの新商品も発売されなかった。 ということは、ウチのレポートは悪意どころか「無駄な(失敗の)…

役に立たないマーケティングリサーチ

古い話。 新製品コンセプトチェックのインタビュー調査でレポートを提出した。 2週間後くらいに「悪意に満ちた報告書」と相手が激怒してしまい、今後は御社とは付き合えない。とあっさり切られたことがある。 ウチをクライアントに紹介してくれた会社とも気…

行動経済学とグループインタビュー

池尾和人先生のアゴラの記事:「行動経済学は絶望的か?」http://agora-web.jp/archives/1425119.htmlその中に「心理学者が個人の行動に関心を持っているのに対して、経済学者は、相互作用しあう人々の集団の結末について説明することに関心を持っている」と…

マーケティングリサーチの進め方がわかる本

2001年に出した「図解でわかるマーケティングリサーチ」の改訂版です。 ソーシャルリスニングだ、MROCだ、ビッグデータだ、というような最新の話は載せませんでした。 グループインタビュー(3章)とネットリサーチ(8章)は全面的に書き換えまし…

ゲーミフィケーション

ゲーミフィケーションってバズワードで終わると思っていたが案外しっかりした構造を持つ概念かも知れない。 特に「成長」とか「発展」を止めざるを得ない日本や欧米、30年後の中国などにとっては指針になるのではないか。 ゲーミフィケーションは「課題、…

使えるアイトラッカー

機械的なアイトラッキングは使えないと考えていた。 理由は「見た」という知覚は網膜上ではなく視覚野で感じられ、「見た」という認知はさらに高次の視覚野でなされるから、視線の動きを取ったところでマーケティング上の重要な知見は得られないということだ…

めでたさもちゅうくらいなりおらがはる

小林一茶は子供の時からあまり好きになれなかった。 子供心に「何故、そんなにすねている?」という感覚があったのだろう。 今、ググったら、まあ、不幸と災難のデパート(これは死に表現)のような人生で臨終は大火で焼け出された土蔵の中だったらしい。 そ…