2017-01-01から1年間の記事一覧

作話とマーケティングインタビュー

作話とインタビュー方法の関係を考えていて2年ぶりに「Sideswipe」のアドベントカレンダー24日目を読みなおした。 分離能患者の例。脳梁を切除した患者の左視野(右半球で処理される)に「歩け」というカードを見せると、患者は席を立って部屋から出て行く。「…

ユーザーブランドストーリー

エクストリームユーザーとはつくり手よりも製品をよく知り、深く愛しているユーザーで良いのだろう。ロイヤルユーザーは「当該製品がないときは他の店を探す」との定義だったが、ネットでの買い物が進んだ現在ではネット検索で注文するで終わってしまう。「…

スティーブ・ジョブスの一人称ペルソナ

スティーブジョブスもそうだったと思うが「マーケティングリサーチは当てにならない。信じない」との経営者だった。前のマクドナルドのCEO、原田さんもその立場でユニクロの柳井さんもそうなのではないか。その他経営トップにマーケティングリサーチは役に立…

ペルソナビルドはSTPPの最後P

マーケティングでセグメンテーションは前提になっている。漠然とマス市場に向けてマーケティングを行うことはできなくなっている。セグメンテーションして自分たちのターゲットを決め、ターゲットのプロファイリングを行い、ポジショニングで競合・補完関係…

FGI対象者人数とマジカルナンバー

FGIの最適対象者人数を考える時、マジカルナンバーは非常に参考になる。心理学や脳科学の概念と考えてよい。ヒトが短期記憶で保持できる数のことで、1956年にミラーが7±2のマジカルナンバーを提唱した。ミラーは短期記憶はチャンク(かたまり)として記憶さ…

対象者人数によるインタビューの深さ

FGIの対象者人数の歴史を振り返ると、FGIが行われ始めたころは1グループ当たり対象者8人が多かった。さすがに多すぎたのであろう、やがて6人が主流になる。その間、グループ内で多数決の決着がつくようにとの理由で、7人の時代もあった。ただ、「業界として…

ユーザージャーニーは短い

第6回アウラ・コキリコセミナーのテーマはカスタマーから「ユーザー」」への新しいジャーニーと協働インタビューの2つであった。 結果は、 想定した通りのユーザージャーニーらしいユーザージャーニーは観察できなかった。 少し強引に「調理の素」を対象にユ…

人数やブランド数のあれこれ

セイラー教授がノーベル経済学賞を受賞した。行動経済学は本家の経済学よりもマーケティングに近い。と勝手におもっている。行動経済学は心理学(認知心理学であって行動心理学ではない)の知見を多く取り入れている。そのなかで、人の短期記憶容量の限界と…

ネット通販のラストワンマイル

もう誰かが言っていることだと思うが、昨日半日考えたこと。今、消費と消費者の変化を考えていて、ネット通販の浸透とリアルなテンポはどこまで減るのかを集中的に考えた。アメリカではネット販売に大きくシフトし、Amazonだけでなく小売や製造企業がECシフ…

協働インタビューの試み

定性調査でバイアスを考慮する必要はない、との持論を持っているが、なかなか理解が得られない。定性とはいえ、調査(リサーチ)である限りは調査主体は調査対象を「自然状態」において観察、質問すべきであるとの原則は認める。この考え方は、今の若者には…

ディベートインタビューの試み

第5回アウラコキリコセミナーでディベートインタビューを試験的におこなった。はっきりした定義はないが、FGIのある場面で、ディベート形式の討論を対象者にやってもらうことをディベートインタビューとした。その目的は、単なるユーザーという立場を越えて…

カスタマージャーニーからユーザージャーニーへ

カスタマージャーニー(マップ)を描く目的は、 ①隠れた(意識していない)タッチポイントの発見 ②タッチポイントごとの接触情報と接触媒体の特定 ③タッチポイントでの態度変容 ④購入に至る意欲の高まりの軌跡 だと思う。 AIDMAが1本の直線で描かれる消費行…

ニューロマーケティングはとっくに終わっている

第30弾は「自由意志錯覚」これを初めて知った時は結構なショックを受けた。大げさに言うとアイデンティティの危機。リベットの実験で有名だが、ヒトが何かをしようと思う前から脳は準備電位といって活動を始めている。意志が先にあって、その意志に従って必…

カラダはウソがつけない

第29弾「自己知覚」 ある感情があって、それに見合った表情や姿勢が表現形として出てくる。楽しい時は笑顔が、ガッカリした時は肩を落とした姿勢が、ということ。ところが、逆の回路があって、表情や姿勢からある感情が湧き上がることがある。無理に笑顔を作…

人格同一性効果とレッテル貼り

第28弾「人格同一性効果」このネーミングもよくわからない。他人に何かを禁止・お願いする時、「ウソはつかないでね」というより「ウソつきにならないでね」と言った方が効果的ということ。行為よりも人格を云々されることがココロに響くということで、これ…

曖昧性を避けるか、好むか。

第27弾は「曖昧性効果」ちょっとわかりづらい。と言うより当然の反応の気がする。確率を明言してくれていればそちらを選ぶし、わざわざ確率を再計算するほど我々はアタマがよくないし、時間も無駄である。モンティ・ホール問題も人に説明できるほどの理解に…

我々の理解は連言の中にある

第26弾は「連言錯誤」これは世間では「リンダ効果」と言われてよく知れれているし、よく例に出されるバイアスである。池谷先生は学者らしく集合の問題として説明されている。ただ、リンダ効果と云われるものは、集合では解決できない要素を持ち合わせていて…

ところで、ジンクピリチオンって何だったの?

第25弾は「ジンクピリチオン効果」科学者のマーケットでは「わけのわからない専門用語でケムに巻く」ことを言うらしい。池谷先生が例に上げたのは「一酸化二水素」は規制すべきかという質問に多くの人が規制すべきと答えること。もちろん、これは水のことだ…

心は強い! 心理学的免疫システムはサイコパスではない

第24弾。「持続時間の無視」「インパクトバイアス」は心理学的免疫システムと説明されるようだ。試験に落ちたら、カレ(彼女)にふられたら、自分は相当なショックを受けて容易に立ち直れない。と思い詰めていても、実際に試験に落ちたり、ふられたりした時…

先行刺激(プライマー)を調査し、後続刺激(ターゲット)の処理促進

第23弾。「プライミング効果」は、先行する刺激(プライマー)によって、後続刺激(ターゲット)の処理が促進または抑制される現象。脳科学的説明(作用機序)もわかっているらしい。池谷先生は、記憶力テスト(単語の思い出し)で心理テストと宣言してから…

「自分は変わらない」と思っても変わっていく。歴史に終わりはない

第22弾「歴史の終わり錯覚」ヒトは過去に起こった自分の変化よりも将来に起こる変化を少なく見積もる傾向があるそうです。10年前から今も友達である人数と、現在の友達の中で10年後も友だちでいる人数を答えさせると後者の人数が多いそうです。過去、自分に…

クラスター錯覚で分析を楽しめ!

第21弾は「クラスター錯覚」これも結構、深刻な問題をかかえていそう。人の脳はランダム、無秩序を認めたがらず、なんらかの規則性やストーリーを作り出しやすい、という傾向(クセ)を持っている。特に同じものの集合や連続(クラスター)に注目しやすい、…

傀儡を多く集めて神の意思

第20弾は「アドバイス効果」人は知らず知らず他人の意見・評価に影響され、影響されたことは認識できず、自分独自の意見・評価だと思ってしまう。池谷先生は「人の知性は傀儡」とまで言っている。アイデンティティの危機とも言えそう。バンドワゴン効果と違…

アイエンガー「選択の科学」

備忘録。 池谷賛成の本の孫引き(アイエンガーの本は手元にない)だが、ジャム売り場の実験。24種呈示の売り場、立ち寄り率60%、購入率3%に対して、6種類呈示売り場、立ち寄り率40%、購入率30%。だから、全体の購入率は24種類1.8%に対して6種類12%とな…

3人インタビューの可能性

第4回アウラ・コキリコセミナーで3人インタビューの実験を行った。その結果の速報。 対象者が3人いればFGIが成立した。終了後の対象者3人へのフォローアップインタビューでも「なんとなく仲間意識ができた」「3人だとだれがどんな人で、どんなことを発言…

半数以上が「天然」だという集団は?

19弾は「平均以上効果」あなたは公平に振る舞っていますかの質問にほぼ100%の人が「自分は平均より公平に振る舞っている」と回答する。平均の概念が統計学的なものと違っているといってもやはりおかしい気がする。これを「平均以上効果」と言う。クルマの運…

「伝染効果」で組織活性化

第18弾は『伝染効果』野球の例で、絶好調の選手がいるチームでは他の選手の成績(打率)も上がる。というデータから絶好調選手からの「伝染効果」を説明しています。もちろん「鶏が先か卵が先か」の錯誤にも言及しています。つまり、チーム全体が上り調子だ…

変化盲と選択盲を前提にしたモデレーション

第17弾は変化盲・選択盲。ヒトの認知や意思決定行動の説明がいかにいい加減かという、昔から言われている変化盲・選択盲。ホテルのフロントで対応するホテルマンがやり取りの途中で男性から女性に入れ替わってもほとんどの人は気づかない。多数の写真の中か…

ステキな錯誤

第16弾は「記憶錯誤」。『ココロの盲点』の中でもMRにとって重要なバイアスです。我々は消費者(調査対象者)の記憶を調査しているといっても過言ではありません。このひと月の間に何を、どこで買って、どうしたか、評価はどうだったか、などをいつでも調査…

スローよりもファーストな意思決定をみがけ!

第15弾はかの有名なプロスペクト理論。『ココロの盲点』のなかでもこれだけが「理論」と標記され、効果とは違った深さを感じさせる。カーネマン・トベルスキーの『ファースト&スロー』は読んではいる。人(の脳)は冷静に落ち着いてスローな判断よりも感情…