定性調査・アクティブインタビュー

作話と解釈装置

インタビュー調査での対象者の話には多くの作話が含まれているのではないか、と考えている。そして作話は「正直なウソ」と言われるくらいだから、頭から否定せずに分析に使ってもよい、使うべきと考えている。最近、ザガニガの『人間とは何か』を読んでいて…

吉本隆明「共同幻想論」とリエゾンインタビュー

吉本隆明の読者であったことは一種の黒歴史になっている。それはそれとして、換骨奪胎いろいろ利用してリエゾンインタビューの理論づけに使ってみる。リエゾンインタビューは疑似ペアインタビューで、その疑似が豊かな物語(対幻想)を生むという利点を持っ…

新しいインタビュー法『リエゾンインタビュー』

アウラマーケティングラボでは『リエゾンインタビュー』を開発しました。リエゾンインタビューは人(対象者)の認知に「リエゾン効果」を起こさせ、それを観察することでより深い分析やインサイトを得る新しいインタビュー方法です。 リエゾンとはフランス語…

ネットリサーチ結果からペルソナを作る

ネットリサーチになってから「原票」を見ることができなくなった。大昔は集計計画を作る前やデータの解釈に困った時によく原票をみるということをした。ストレートな解決には結びつかないが豊かなヒントをもらえた。サンプルひとつづつの回答票を最初か最後…

ワークショップFGI Ⅱ

「思わぬ発見」のないまま終わるFGI。 わかっている(いた)ことの確認で終わるFGIという批判は相変わらずです。 マーケティングリサーチである限り、わかっていたこと(仮説)が消費者の「生の声」で確認(検証)できる機能はそれだけでも重要です。 ただ、…

ワークショップFGI

FGIは、 ・あるテーマに全員の意識をフォーカスさせ ・参加者全員の自由な発言とお互いの議論を引き出し その時のマーケティングテーマへの「回答(仮説づくり、仮説検証、新発見)」を導くことを目的に実施されます。 ワークショップは、研修やセミナーのや…

リエゾンインタビュー

18日のアウラ・コキリコセミナーでリエゾンインタビューにトライした。テーマは野菜飲料のカゴメのユーザーブランドストーリーを描くとした。 リエゾンインタビューは1on1インタビューの発展形であるし、ペアインタビューの発展形でもある。1on1のモデレータ…

FGIのバンドワゴン効果

バンドワゴン効果を集団の同調圧力と解釈する前提(池谷裕二さん)で話を進める。醤油ラーメンを食べようと思ってラーメン屋に入ったら、その店は塩ラーメンが有名らしく。周囲を見てもみんな塩ラーメンを注文して美味しそうに食べている状況で、当初の予定…

マーケティングインタビューのアスキングとリスニング

このところ、モデレーションでのアスキングとリスニングを考えている。もちろん現場ではこの2つをミックスして使っている。モデレーター教育は主にアスキングの方法が追求され、リスニングの方法は特に教えられないことが多い。ただ、モデレーター技術として…

ユーザーブランドストーリー

エクストリームユーザーとはつくり手よりも製品をよく知り、深く愛しているユーザーで良いのだろう。ロイヤルユーザーは「当該製品がないときは他の店を探す」との定義だったが、ネットでの買い物が進んだ現在ではネット検索で注文するで終わってしまう。「…

FGI対象者人数とマジカルナンバー

FGIの最適対象者人数を考える時、マジカルナンバーは非常に参考になる。心理学や脳科学の概念と考えてよい。ヒトが短期記憶で保持できる数のことで、1956年にミラーが7±2のマジカルナンバーを提唱した。ミラーは短期記憶はチャンク(かたまり)として記憶さ…

対象者人数によるインタビューの深さ

FGIの対象者人数の歴史を振り返ると、FGIが行われ始めたころは1グループ当たり対象者8人が多かった。さすがに多すぎたのであろう、やがて6人が主流になる。その間、グループ内で多数決の決着がつくようにとの理由で、7人の時代もあった。ただ、「業界として…

協働インタビューの試み

定性調査でバイアスを考慮する必要はない、との持論を持っているが、なかなか理解が得られない。定性とはいえ、調査(リサーチ)である限りは調査主体は調査対象を「自然状態」において観察、質問すべきであるとの原則は認める。この考え方は、今の若者には…

ディベートインタビューの試み

第5回アウラコキリコセミナーでディベートインタビューを試験的におこなった。はっきりした定義はないが、FGIのある場面で、ディベート形式の討論を対象者にやってもらうことをディベートインタビューとした。その目的は、単なるユーザーという立場を越えて…

3人インタビューの可能性

第4回アウラ・コキリコセミナーで3人インタビューの実験を行った。その結果の速報。 対象者が3人いればFGIが成立した。終了後の対象者3人へのフォローアップインタビューでも「なんとなく仲間意識ができた」「3人だとだれがどんな人で、どんなことを発言…

消費者(調査対象者)の3つのアポリア

われわれのモデレーション・分析は、以下の前提に基づいている。 モノやサービスを買ったり、使ったりするとき、消費者は自分の行動や感情に「意識的」でない(気づいていない)のが普通なので、ブランド選択理由を聞かれても答えられない。(そんなこと聞か…

マーケティング的プロービング

アウラでは、インタビュー調査のプロービングに以下の5つの方法をあげてきた。 この原則に大きな変更の必要はないが、プロービングする側(モデレーター)のスタンスに違いがあることを考える必要がある。 モデレーターのスタンスが、カウンセリング的立場か…

選択盲と作話

選択盲は、自分が「好き」と選んだもの(例えば異性の写真)を少しの時間をおいてすり替えられて提示されても、その間違いに気づかないだけでなく、提示された異性の良い点や好きな理由を語りだすというヒトの認識のいい加減さ、不正確さのことをいう。 少し…

パッケージデザインの評価のためのメモ

消費財のPKデザイン評価の雛形を作りたい。 そこで、まず、パッケージの基本的な価値構成を考えた。 素材 紙(ダンボール)、木、ガラス、陶器、金属 材質 透明、遮光、光沢・マット 形態・フォルム 袋、箱、円筒(缶)、立方体、首ビン、広口ビン、自立・ピロー さ…

ワーキングメモリーのマジカルナンバー(4人インタビューの根拠)

アクティブインタビューの研究をしている中で、FGI対象者の最適人数は4人であるとの結論を得たのだが、論理的な説明ができないで苦労していた。 ミラーの「マジカルナンバー7」は短期記憶の話だからFGIの人数の説明には使えないし、そもそも7±2で…

何故、4人がベストか

FGIの対象者は4人がよいという話。 自分の体感からの結論でうまく説明できない。 印象的なことしか言えないが少し考えてみた。 モデレーションをやっている人はわかると思うが、対象が6人いると「この人、今、何を考えているんだろう」ということが、モ…

FGIの対象者は4人に限る

その昔、10人以上、確か14、15人のインタビューの司会をやったことがある。 グループインタビューにはならず、シンポジウムの司会のようなものだった。 そのころは、FGIの対象者は8人が普通であったと記憶している。 ただ、8人の対象者を相手にすると半…

対象者は「いる」のではなく「なる」もの

1月7日にDayByDayインタビューをやって確信したことは、対象者とはそこにいる生活者がそのままインタビュー会場に「いる」のではなく、インタビュー会場で対象者に「なる」ものだという事実である。DayByDayインタビューとは、同じ対象者に…

Day by Dayインタビューとハロウィンインタビュー

2010年にDaybyDayインタビューという方法論を提案してそのままになっていました。 2014年の後半からはハロウィンインタビューという思いつきをなんとか方法論にまでしたいと考えています。 そして、この2つの方法論は融合できるのではない…

ハロウィンインタビュー

ハロウィンの仮装を見ていて、ふと、ひらめいた。(たいしたひらめきではない) ハロウィンインタビューもしくはハロウィン法と名づければよいのだ。と。 38回のアウラセミナーで「なりきりインタビュー」的なものをやってみたのだ。 みなさん、モデレーショ…

平気でウソをつく

インタビュー調査では、対象者に「正直に答えて欲しい」「思ったことは何でもしゃべって欲しい」「こちらへの気遣いはいっさいいらないから」「私(モデレーター)は関係者じゃないから」と入念にバリアーを取り去りされば、自由で創造的な発言が得られると…

圧迫プロービング

モデレーションは、出席対象者にリラックスした雰囲気を与え、質問されたことに「すなおに」答えてもらうことに注意して行う。 対象者の発言には、『そうなんですか』、『そうなんだ』と納得も理解も同調も反論もすべて曖昧ながら、『あなたの発言は確かに聞…

認知はハシゴの階層構造を持つか

昔、レパートリーグリッドと言われ、諸井先生が「評価グリッド法」として完成させたリサーチの方法論がある。 評価グリッド法とセットでよく使われるのがラダリングという手法である。 これは、消費者の認知構造と製品の価値構成(要素)構造が相関している…

メタファーを引き出す

プロービングとメタファーは本来、なじまないかもしれない。 プロービングは不完全さを補うことを目的とするが、メタファーは完全さを崩す、曖昧さを増やす方向で使われるからであろう。 「ポッキーはカワイイ」に対して『どこが、どうかわいいの?』『お菓…

世の中、関係の網の目の中

プロービングの第2のポイントは、対象者の発言を関係性を意識させるようにすることである。 世の中は関係性の網の目の中にいるが、個人の発言は関係性を考慮した後の「エッセンス」だけともいえる。 「ポッキーが大好き」という発言はどういう関係性の中で…