リエゾンインタビュー

18日のアウラ・コキリコセミナーでリエゾンインタビューにトライした。テーマは野菜飲料のカゴメのユーザーブランドストーリーを描くとした。

リエゾンインタビューは1on1インタビューの発展形であるし、ペアインタビューの発展形でもある。1on1のモデレーターと対象者の対峙関係を和らげ、その場でできたペアの関係性をインタビューに活用するというやり方である。1on1の欠点として対象者との会話が集中しすぎてアソビがなくなり、最終的になんとなくギクシャクした関係、モデレーターにとっては「もうこれ以上この人にインタビューしても得ることはないな」とあきらめを、対象者には「もう、話すことはないし、この会話の目的がいまいち飲み込めない、欲求不満だな」との心理状態も持たせてしまう状況になる事がある。そこまでこじれなくてもお互いに「合わない、合わなかった」印象が残る。モデレータの力量の問題もあろうが、1対1の関係性から抜け出せないことも原因であろう。冗談などで他者視点を持ち込めば改善することもある。

そこで、最初から他者視点をセットして1on1インタビューを実施するのがリエゾンインタビューである。野菜ジュースのエクストリームユーザーであるとの共通点だけを頼りに即興のペアを作ってもらい、2人の会話をモデレーターは「聞くだけ」の立場で参加する。2人の関係性は最初はもちろんギクシャクするがお互いの自己紹介が終わる頃は双方向の会話がはじまる。モデレーターは時々、テーマの方向性を示すだけで対象者2人の会話を進行させる。発音しなかった子音が母音が連続することで現れるリエゾンを自然の形でおこしてもらう。本来的にはそれぞれを1on1で実施し、その後リエゾンインタビューに参加してもらう2段階を組まないと検証はできないが、リエゾン効果はあったと考えている。モデレーターとの1on1では定型的な質問になってしまう部分が、対象者同志なら自然な形で会話がからみあって螺旋状の盛り上がりが観察できた。

このリエゾンインタビューで「ユーザーブランドストーリー」を描くことは道半ばでおわった。ユーザーブランドストーリーとは、メーカーサイドのブランディング施策を換骨奪胎して独自で独特のブランドストリーを作った消費者(ユーザー)こそがエクストリームユーザーであると定義づけている。こういった内的ストーリーはモデレータと対象者の対峙関係では語られづらい。それを臨時のペアを作り、そこでの関係性を作り上げる過程を設けた方が語られやすいと考えている。このユーザーブランドストーリーを記述することで、その後のブランディング戦略が多層的になると考えている。

実験を続けたい。