平気でウソをつく

インタビュー調査では、対象者に「正直に答えて欲しい」「思ったことは何でもしゃべって欲しい」「こちらへの気遣いはいっさいいらないから」「私(モデレーター)は関係者じゃないから」と入念にバリアーを取り去りされば、自由で創造的な発言が得られると考えている。
だがしかし、これらのセリフは、親が子どもの悪戯を白状させる場面や犯罪者を自白に持ち込むとき、精神科医が患者に対するときと似ているではないか。
前2つは相手が意識的にウソをつこうとしている時で、そんなことで正直に話すわけがないことはわかる。
問題は精神科医のカウンセリングである。
精神科医の立場で対象者(患者)に向かう姿勢も必要になってくる。
対象者のウソの特徴は、
・本人はウソと思っていない(ホントのことが意識できていない)
・他の対象者との関係性の中で態度を決める
・自分の話の論理(始めに言ってことにつじつまを合わせる)を意識する
・勝手なストーリーを作り上げる
・発言したことを事実と勘違いする、思い込む
・自分を正直に出す必要性を感じていない
・なにより、表現力がない
などである。
これらの対策として繰り返し面接したり、カウンセラーを変えてみたりする工夫があるらしいが、マーケティングではそこまでできない。(予算と労力)
2時間か3時間のFGIでこのバリアーを解くのは難しいが、ひとつは「対象者は平気でウソをつく」けど「我々にとって大切な情報源である」という認識・態度であろう。
ココロの中では「何、ウソ言ってんだか」と思いつつ、笑顔で「ほう、すばらしい意見ですね」と関心するのである。
そして、最後に冷たく分析する。

なんか、因果な商売。