「伝染効果」で組織活性化

第18弾は『伝染効果』野球の例で、絶好調の選手がいるチームでは他の選手の成績(打率)も上がる。というデータから絶好調選手からの「伝染効果」を説明しています。もちろん「鶏が先か卵が先か」の錯誤にも言及しています。つまり、チーム全体が上り調子だから絶好調選手が生まれ、他の選手の成績も上がるという論理です。このあたりは今流行りのビッグデータ分析(AIと言ったほうがそれらしくなるらしい)で解明できるのでしょう。

FGIの現場でもこの伝染効果が働きます。反応が鋭く、よく喋って、明るい対象者が1人いるとグループ全体が活性化してよいグループインタビューになります。こういう対象者を「引っ張る人」として嫌うクライアントさんもいますが、引っ張られないようコントロールしつつ、反応のよい明るい雰囲気の「伝染効果」を利用するのがモデレーションです。第6弾のバンドワゴン効果と同様にモデレーションテクニックのひとつです。

話は飛びますが、リクルートはこの「伝染効果」を意識的に組織の中に組み込んでいるのではないかと思います。営業成績のよい人、新規事業に関わる人の足を引っ張るのではなく、全体で褒め称え、それに影響されて「自分も」と考えるメンバーを増やしていると考えられます。あれだけ大きく伝統もある企業で、絶好調社員の足を引っ張らず、チーム全体のポテンシャルを上げ続けるマネンジメントの要素は「伝染効果」だけでは説明できませんが、たしかに活用はしていそうです。