ミラーニューロンはファンタジー

直井さんの本にショッキングなことが書いてあります。
ヒトを含めた動物が学習したり、社会行動をとる時に重要な「サルまね」神経細胞ミラーニューロンがファンタジーではないかとおっしゃってます。
ミラーニューロンは、
・他者の意図を推定する働きがある(ここから自閉症との関連も喧伝される)
・模倣・学習には必須である
・言語の獲得(発達)に重要である(発見されたのがF5野というブローカ野に近い部位だった)
・「心の理論」の成立にも重要である
などヒトの高度な認知機構のキーになるニューロンと言われています。

これに対して直井さんは、大騒ぎするほど重要な概念というか、ニューロンではないということらしいです。
理由として
・ミラーニューロンの追試(定量的検証)が少ない、ほとんどない
・ミラーニューロンが反応する行為のレパートリーのほとんどがエサを口に運ぶ、食べる行為である
・サルでしか見つかっていないのにヒトに拡張している
・ミラーニューロンがF5とIPL(前頭葉)のごく狭い部位だけにあることが不自然
などをあげています。

直井さんは、高度な認知機能は脳全体の多層的なネットワークで担われているはずで局在したニューロンでけではないと言いたいようです。
直井さんの研究の方向は、脳の広範囲から同時に記録できる大規模神経細胞活動記録の方法論を使って局部の活動だけでなく全体ネッとワークを解明するというものらしいです。

そうなったときの「脳にいいこと」「東大に受かる脳」とかの本の内容も大きく変わるのでしょうか。