自分のものはかわいい

『ココロの盲点』シリーズ第14弾は保有効果。脳は手に入れたものに愛着を感じ、手放すことに抵抗を感じる傾向があるそうです。持っているCDを友人が欲しいと申し入れた時、多くの人は買った時の値段以上の値付けをする。持っている株の売り時が遅れる、読まない本を売らないで本棚をいっぱいにするなども保有効果とされます。また、長く付き合った恋人同士ほど別れるチャンスを失いやすいらしいです。ただ、保有効果もそうですが、こういったバイアスはココロの安定に役立っている気がします。手に入れたものに愛着がわかず、手放すかどうかをそのものの現在価値を冷静に測定して決める、と言うのは何か殺伐としている気がします。別れる別れるといいつつ、何年も持っている恋人や夫婦、あるいは辞める、辞めると騒ぎつつ、いつまでもいる会社・職場、などは保有効果なのでしょうが、何か人間味がありそうです。

MRで保有効果が問題になりそうなのは、Aブランドのユーザーで、A・Bブランドの一対比較をさせるとAの評価が高くなるという状況になりそうですが、現場ではあまり気にせずに「ユーザーなんだからそうだろうな」程度で処理していそうです。ブランドイメージも現ユーザーの方が良くなるのは保有効果を持ち出すまでもなく常識だろうと思います。この保有効果とサンクコスト効果は似ていそうです。