ミラーニューロンの発見

ほぼ同時に、ミラーニューロン発見者本人の本も出たようですが、こっちの方がわかりやすそうっだたのでこっちだけ買いました。(安かったし)

ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)ミラーニューロンの発見―「物まね細胞」が明かす驚きの脳科学 (ハヤカワ新書juice)
(2009/05)
マルコ イアコボーニ

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サル真似ニューロンの発見からミラーリングのしくみ、ミラーリングをおさえる(制御し、調整する)スーパーミラーニューロンシステムまでの記述はわかりやすくスリリングですが、そこから実存主義神経科学まで突っ走って「間主観性」までミラーニューロンで解説されるとなんかなー、という感じです。「免疫の意味論」から能の世界に行ってしまった多田富雄さんを連想しました。
哲学に影響を与えるのが物理学から生物学になった印象はありますし、なかでも脳科学、認知心理学が先端の哲学を創り出すことは間違いないとは思いますが、ミラーニューロン単独で突っ走り過ぎていると思います。

ニューロマーケティング(9章「好みのミラーリング」)も取り上げられ、ペプシvsコークのfMRI実験がくわしく載っていました。最大の疑問だったMRIの中の対象者にどうやって飲ませたかがわかりました。コンピュータ制御のストローで飲ませたそうです。しかも炭酸抜きで。
報酬系の脳領域(味覚の判定)が、神経系の実行管理をする脳領域(ブランド名を知って)によって活動を抑制されてしまうという事実は自分にとって新発見でした。(背外側前頭前皮質=実行管理)