やっぱり赤ちゃんは哲学しない

開一夫『赤ちゃんの不思議』(岩波新書)を読んだ。
少し前『哲学する赤ちゃん』(著者は外国人)をよんでいたが、開さんの本の方が格段にわかりやすかった。
最近の赤ちゃん研究の成果が詰まっていておもしろい。
大人になってしまったわれわれは体験してきたであろう赤ちゃんの意識はわからない。
わからないから、赤ちゃんは真っ白なキャンバスを持って生まれるのか、キャンバスの性能(というか資質)に差を持って生まれるのかという問題意識を持ってしまう。
この2冊の本ではこの2説のどちらが正しいかということではなく、「赤ちゃんが哲学する作用機序」の研究が進んでいることを示している。

ここで全く関係ないのだが、ニューロマーケティングを考えるにあたって面白い記述があった。
ひとつはfMRIのような大規模な装置ではなく「脳波計(EEG)キャップ」を赤ちゃんにかぶってもらう。あるいは、近赤外線分光法(NIRS)装置をハチマキのように頭に巻いてもらうことで赤ちゃんの脳活動を計測するという新しい装置が活躍しているということである。
この装置なら赤ちゃんだけでなく大人の消費者の脳活動の計測が売り場や使用場面でできそうである。
脳波は脳神経の「電気活動」の計測、NIRSは脳血流量の計測という違いはあるが、機器が劇的に小さくなって体が活動状態でも計測可能なところがよい。
どこかお金のあるところはすでに使っているのか?

もうひとつはミラーニューロンシステムが大人と赤ちゃんでは違うという点である。(p156)
赤ちゃんはビデオ録画されたものでもミラーニューロンシステムが作動するのに大人ではしないらしい。(追試の数が少ない)
これをさまざまなテレビ広告の画像で実験してみたい。
もし画像(作品)によってミラーニューロンシステムの作動に差があれば、効果的なCM(作品)作りに役立つと思う。
電通さんあたりはすでにやっているかも。