アンカリングも悪くない

池谷裕二先生の『ココロの盲点』ネタシリーズの第7弾。今回はアンカリング。素早く判断しなくてはならないとき、全体の判断は、冒頭部分の情報に影響されますとして、大きい数値から始まる掛け算の列と小さい数字から始まる掛け算の列の例が挙げられています。このように特定の情報に全体の判断がひきずられるのが「アンカリング」です。これは第六感や直感とも言えそうで、必ずしも悪いことではないと思います。

マーケティングの世界では、メーカー名、評判へのにアンカリングがよく見られます。新製品A、Bがあった時、どちらを選ぶか詳細に検討するよりも有名なメーカーのものか、自分の好きなメーカーで選んだほうが時間の節約になります。逆に考えれば消費者のココロの中にこのアンカリングを起こさせるのがマーケティング、特にコミュニケーション戦略の目的と言えます。インフルエンサーを探すより、インフルエンサーにアンカリングされる心理や施策を研究すべきでしょう。

昔の詩で、「アンカおろして酒を飲む」というのがあります。ハシゴ酒の対局で1件の店にアンカーをおろして酔いつぶれる、という内容で、北の港の漁師たちの飲み方をうたった詩でした。考えてみれば、就職も結婚も「アンカリング」しないとできないことかもしれません。