新しいインタビュー法『リエゾンインタビュー』

アウラマーケティングラボでは『リエゾンインタビュー』を開発しました。リエゾンインタビューは人(対象者)の認知に「リエゾン効果」を起こさせ、それを観察することでより深い分析やインサイトを得る新しいインタビュー方法です。

リエゾンとはフランス語の語法のひとつです。フランス語は母音の連続を避ける傾向が強い。そのため通常は、語の最後の子音は発音しない「黙音」扱いになる場合が多い。ただ、次の語が母音で始まる場合は、母音の連続を避けるために黙音扱いだった子音が発音されます。

  • mes mains [me.mɛ̃] メマン (私の両手)
  • mes amis [me.z‿a.mi] メミ (私の友人たち) *以上wikipediaより

 

これをアナロジーとして少し強引に定性調査に当てはめたのがリエゾンインタビューです。

インデプスのインタビューは通常は1on1で行われます。ペアインタビューは、夫婦、恋人、親子などの関係性の強い2人を同時にインタビューします。1on1は対象者の生活背景・心理的背景まで詳しく聞き出せることが特性です。ペアインタビューは、ブランド選択やブランドイメージに2人の「関係性」が強く影響する商品ジャンルがテーマの時に有効です。ここで、1on1インタビューを2人同時に行うことを考えました。つまり、形式上はペアインタビューになります。2人の関係性は他人同志ですが、購入ブランドやロイヤリティなどの「共通項」を関係性と定義します。あるブランドのエクストリームユーザーという共通項を2人を結ぶ「関係性」として即席のペアを作ります。この即席ペアの会話や共同作業を観察することで「思いがけない発見」や「インサイト」が分析できる。というのがリエゾンインタビューです。

母音(エクストリームユーザー)が連続することで黙音だった子音が発音されるようになる現象が観察できます。対象者とモデレーター(母音☓子音)の関係性では黙音であったある認知が、ユーザーとユーザー(母音☓母音)の関係性が作られることで黙音扱いだった子音が会話の中に出てきます。その子音は1on1では「気づかなかった」あるいは「特に話す必要を感じなかった」認知や意味のことになります。個人の「幻想(認知)」しか調査できなかった1on1から「対幻想」を越えて「共同幻想・認知」までを調査できる可能性が開けたのです。

リエゾンインタビューは対象者同志に「気づき、発見、再考」の機会を与えます。「あなたはそうだったんですね。私はこうでしたが、考えて見るとこっちの理由かもしれませんね」「自分だけかと思っていたけど、同じように人がいて嬉しかった(安心した)」などの発言が得られればリエゾンインタビューは成功です。分析者をそれを観察しながら分析ストーリーを作ればよいのです。