リエゾンインタビュー

1on1インタビューは対象者とモデレーターが1対1で対面する。対象者の行動・意識・感覚・感情の深い部分まで探れる優れた方法論である。これをもっと活用する方法を提案する。きっかけは、企業があるシステムを導入するにあたっての採用・不採用の基準は何かを探りたい。との課題だった。システム導入の意思決定者にインタビューしたがなかなかよい結果が得られなかった。原因を検討したところ、①専門分野の独特の言い回しや雰囲気の表現に企業ごとの個性が強く出ていた。②対象者が「どこまでしゃべってよいか」迷っていた。が仮説としてあがった。①は、対象者がどう工夫してしゃべっていいかわからないので、過剰なストレスを与えて沈黙が多くなった。②は競合関係にある会社の人(対象者)はどこまでしゃべって(情報開示)しているのだろう、との疑心暗鬼をもたらしていた。

そこで、1on1ではなく、グループでもない新しいペアインタビューを提案した。この例で言えば、システム導入の意思決定者を2社から同時に呼んで「強制的にペアを組ませて」インタビューした。このやり方をリエゾンインタビューと名付けたい。利点として、お互いのやり方(システム導入)を探り合う会話が自然発生した。そこから導入基準(課題)が見えてきた。お互いにけん制しあいながらも「どこまで話すか」がわかってきて、会話がスムースになり、思わぬ発見や知見が得られた。

リエゾンは、語末の子音は通常は発音しないが、次に続く語が母音で始まるときだけ発音するというフランス語などにある語の規則である。これをもじって、同じ専門の人2人を強制的に一緒にすることで、普通は黙音であるものを顕在化させるインタビュー方法のネーミングとした。リエゾンには連携、連絡の意味もあるのでよいネーミングではないかと自賛している。

使える分野としては、上記の専門家相手のインタビューや、いわゆるエクストリームユーザーのインタビューに使えると考えている。エクストリームユーザー同志でインタビューすると「オタクはどうしてるの?どうおもってるの?」とお互いが会話を始めてくれるのでより深いインタビューになる。

リエゾンインタビューは形式的にはペアインタビューだが、夫婦、恋人同士など関係性が出来上がったペアではなく、インタビューの現場で初めて顔を合わせるペアである。同じ専門分野、地位・立場、ブランドのユーザーなどの幅の狭い共通項を持つペアなのでテーマへの集中度が高くなる。

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