ハイコンテクストを演出して、ローコンテクストな分析を行う

與那覇潤『日本人はなぜ存在するか』の中に「グローバル化とは、ハイコンテクストだった社会(日本)がローコンテクストな状態に移行していくこと」と書いていた。
英語ができようができまいが関係なく、コンテクストを共有しない他人や集団に対して自分の立場や利益を主張することがグローバル化ということであろう。
ここではグローバル化とは離れてグループインタビューの世界にこの対立概念を当てはめてみたい。
対象者の集団(グループ)は、最初はローコンテクストであるのが当然である。
そこで、
・自己紹介などで初対面の人たちで共通のコンテクス作りを行う。
・モデレーターから目的・主旨の説明して、コンテクストの方向性(限定)が告げられる。
ここまでは極めてローコンテクストな集団である。ここからモデレーターは、
・この集団(グループ)から自己生成するコンテクストを高度化していく
・さらにテーマに沿ったコンテクストに仕上げていく
ことに留意してグループをハイコンテクスト化する。
そして、デブリーフィングで
・ハイコンテクストな状況を確認する。
・鏡を隔てたクライアントにハイコンテクストが共有されてるか確認する。(そうだよね!という発言が出るか)
ことで生成されたコンテクストを確認する。
最後に報告書作成するときは、
ハイコンテクストな知見・発見をローコンテクストに記述することになる。
インタビューに参加しなかった人たちにも共感的に理解ができるように報告書を作成するのである。

分析とは、ハイコンテクストなインタビュー結果をローコンテクスト化する作業なのである。