研ぎ出し蒔絵

昨日、友人の漆作家の個展を見てきました。研ぎ出し蒔絵というハイテクとは真逆の手法です。簡単に言うとベースに黒漆を塗り、なま乾き状態の上に金粉、金箔、螺鈿、ウズラの卵殻、などで絵を描いて、その上から黒漆を塗って、炭で削って研ぎ出して、下の絵を浮き立たせるという手法、らしいです。

もとは工芸作品の手法ですから大きなパネルには向かないのにその壁を越えるとすばらしい絵画世界が表れます。日本画?写真?リトグラフ?どれといわれても納得できる作品になります。この世界を作るにはこれだけの制約が必然なのか、単なるマゾなのかわからなくなります。

技法的にはわかりませんが、作品世界は確実に進歩しているのが観てとれて芸術家がうらやましくなりました。60歳は「はな垂れ小僧」の世界ですからカレもこれから何回か脱皮するのでしょう。