ブランドイメージと実体験
48回アウラセミナーは「ブランドイメージを考える」だった。
ここではB2C市場のブランドに限定した。
ブランドイメージの形成過程には、そのブランドの実体験、つまり具体的な接触、今回で言えば、当該ブランドの実購入・使用、CMとの接触が基本であると考えていた。
いわゆる評判・クチコミ(これをブランドイメージと誤解するむきも多いが)は二の次、三の次と考えていた。
今回のインタビュー結果から、ブランドイメージ形成に実体験は重要であるが、表現型として出てくるブランドイメージには、実体験よりも評判などの仮想体験が強く作用していることが発見できた。
具体的には味の素のブランド(企業)イメージを問うと、クックドウ、ほんだし、などの使用体験から、「おいしい」とのポジティブ評価ができ、昔から(母親の時代から)存在するメーカーとしての伝統観・信頼感ができていた。
しかし、それ以上深く掘ろうとすると「オリンピック協賛、トレーニングセンターの運営」など実体験ではなく情報体験から出てくるイメージが表現豊かに語られた。味の素のそういった取組から「スポーツマインド」などのイメージが発言として」でてくるが、「アミノバイタル」は知らないという状況であった。
このようなブランドイメージは味の素の企業ブランドイメージの展開として有利に働くのか疑問がわいた。すくなくとも「スポーツマインド」イメージがクックドウの購入場面で有利に働くか疑問である。
この解釈として、ブランドイメージのコアの部分は実体験に基づくが、そこから出てくるイメージは基本的で固定化されやすい。さらに競合ナショナルブランドとの差異も小さいものになる。ブランドの個性を語ろうとするとどうしても基礎部分を離れた華やかな部分の施策の反応になる。と言うことであろう。
こうして出来上がっているブランドイメージをマーケティング上でどのように活用するのか、出来るのかがわからない。売上や利益への貢献の少ない文字通りのイメージ(幻)に資源を投下していると言うことなのだろうか。
ブランドイメージを戦略的に使おうと考えるとき、ここをはっきりさせないといけないのであろう。
アイトラッキング分析心得
備忘録としてのアイトラッキング分析の心得
<準備・企画>
・「とりあえずアイトラやってみよう」は避ける
・作業仮説を作る。画面(画面、紙面、三次元)のどこに問題がありそうか仮説を作る(目立たない、要素が多すぎる、他)
・データを撮る画面を絞る。画面が増えれば費用も増える。
・対象者を絞る。リクルーティング費・謝礼費だけでなく、サンプル数いくつくらいで結論が出そうか見積もる。(難しい)
<実施>
・自然状態でのデータ取得はできない。ただ、対象者には生活場面を想定してもらう。
・バイアスになるが、「いつもより、ゆっくり全体を見てください」と指示する。
・従って、「見ていた時間」は参考データ。
・データを再生しながらでなくてよいので対象者に必ずインタビューする。(これがないと分析できない。アンケートよりインタビューがよい)
<データ作成>
・視線データは精確に採取できるが、元の画面とのマッチングに誤差がある(たぶん)
・個別サンプルデータとサンプル計データを作成する
・ヒートマップ、ゲーズプロット両方か片方だけか分析目的によって決める。
・データ作成は「力仕事」なので時間がかかる。
<分析>
・視線の集中の意味を考える、インタビューから判断する。
「よくわからない」から注目したのか、「気に入ったから、関心があったから」注目していたのかを識別する。
・画像・図像と文字・数字では理解のスピードが違うことを意識する。人や動物の顔に反応しやすい。特に異性や子供。
・「周辺視野」も考慮しながら分析する。(サッケード現象)
・視線の動きには生物学的傾向がある。
①ひとつの画面でヒートマップの濃い(赤い)部分は6~7か所以下である。(マジカルナンバー7)
②四角の画面では左上から始まり、中央に向かい左下、右下、右上に視線は流れる。(サッケード的にジグザグするが)
③ヒートマップの濃い部分は左上部を起点に同心円的に薄くなる
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選択盲と作話
選択盲は、自分が「好き」と選んだもの(例えば異性の写真)を少しの時間をおいてすり替えられて提示されても、その間違いに気づかないだけでなく、提示された異性の良い点や好きな理由を語りだすというヒトの認識のいい加減さ、不正確さのことをいう。
少し弁護するならば、人生のどうでもよい場面での似たようなものの選択である場合は記憶違いはあるだろう、という1点と違うものを出された時、はっきり確認させられず、選んだ理由を質問されたのなら、目の前の課題に集中するために自分の過去の判断にはこだわらないという2点目があげられる。
ここで問題にすべきは自分の選択に気づかないことではなく、違うものを提示されても自分が「好きな」理由やポイントを滔々と語ってしまい、それが矛盾もせずにスジが通っていることだろう。
前方健忘症の患者の実験でつぎのようなことがあるらしい。前方健忘症とは、脳の障害で新しい記憶が保持できない症状のことである。遠い過去の記憶はあるが、ある障害がきっかけで、それより先(未来)の記憶が保持されない。患者と医師ならば、毎日、初診の患者として医師にあいさつすることになる。ここで、実験的に、医師が挨拶の握手の時に軽い電気ショックを与える、患者は当然怒る。
翌日、患者は医師と会った記憶が保持できないので、電気ショックのこと、怒ったことも忘れて医師と握手しようとするが、ここで握手を拒否する。医師が握手しない理由を聞くと「さっき、トイレに行ったが、手を洗わなかったから」という理由を即座に述べたそうである。
このようにヒトは、瞬時にもっともらしい理由、ストーリーを作話する能力を持っているらしい。(もちろん、虚言癖とは違う)この能力が選択盲でも発揮され、過去の選択の正確さよりも提示された写真でストーリーを作る方が得意なのが一般的な人らしい。
インタビュー調査での対象者は、あらゆる場面で理由を聞かれる状況に置かれている。自分のホントの気持ちを自省的に語るより、もっともらしい、世間通りのよい理由をでっちあげるのが得意で、その方がストレスもないと考えるべきである。
自分にも世間にも「自然なウソ」をつくのである。
インタビュー対象者が抱える3つのアポリアを
①自分の行動・意識に自覚的でない。無意識に行動している。
②自覚・意識できたとしても言語表現能力がない。
③言語表現できたとしても正直に語るインセンティブがない。
と考えてきたが、今後は、①はそのままで良いとして、
②過剰な言語表現能力=作話力がある。
③その作話は、状況・文脈にフィットしているが、自分の本心とは限らない。
と変更しようと考えている。
いずれにしろ、調査対象者は「平気でウソをつく人々」なのである。
人口知能について自分の現在の理解・メモ
まだまだ理解が足りていないが、振り回されないための記録。
人工知能とはディープラーニングと同義で、ディープラーニングはニューラルネットワークによっている。
ディープラーニングの基礎であるパーセプトロンは1950年の古いアイディア。
パーセプトロンを多層にする時、バックプロパゲーションという隠れ層を採用。
教師あり機械学習
教師なし機械学習
強化学習
の3つがある。
教師あり機械学習 → 分類器 ニューラルネットワーク、SVM、決定木
SVM(サポートベクターマシン) 線形分類しかできないので、軸をゆがめて線形分類させる
強化学習 「エージェント・環境・行動・報酬」で学習する。Q学習、Actor Critic
遺伝的アルゴリズム 選択(淘汰)・交叉・突然変異
汎化学習 ⇔ 過学習
エピソード記憶 時間と場所に依存した記憶
大脳基底核 報酬の予測を行い、予測との誤差を測定する → Q学習
マジカルナンバー「7」は古い知識
「Sideswipe」というブログのアドベントカレンダーを読み終えた。
すばらしい内容で自分の無知を大いに啓いてもらった。
その中では、瑣末な知識だが、ミラーの短期記憶のマジカルナンバー7という知識はもう、古すぎるということで決着が(自分の中で)ついた。
最近、ワーキングメモリーのマジカルナンバーは「4」であるとの知識を得ていたが、短期記憶とワーキングメモリーとは同一の概念だったということで、ミラーの実験は、チャンクを使うことで4ではなく7になっということであった。
ひとつ利口になるにも時間と手間がかかる。
パッケージデザインの評価のためのメモ
消費財のPKデザイン評価の雛形を作りたい。
そこで、まず、パッケージの基本的な価値構成を考えた。
素材 紙(ダンボール)、木、ガラス、陶器、金属
材質 透明、遮光、光沢・マット
形態・フォルム 袋、箱、円筒(缶)、立方体、首ビン、広口ビン、自立・ピロー
さらに表面処理・デザインの価値要素
線 直線、曲線、長い・短い、太い・細い、破線・点線
図 線に囲まれた部分、意味、意匠
色 単色・多色、淡色・濃色、明暗
記号 ブランド名、キャッチコピー、他
忘れていたが、パッケージの本来的機能
保護、保存、運搬
展示、訴求(コンセプト、優位性)
パッケージの評価の基本要素
識別性、差別性
コンセプト表現力
親近性、共感性
持ちやすさ、運びやすさ
手触り
パッケージデザイン評価用語はたくさんあるが
好き・嫌い
シンプル・複雑(にぎやか)
わかやすさ
評価であがりそうな表面処理の種類
模様のパターン
シズルカッ
人物・動物、大人・子供・赤ん坊
植物・花
ロゴマーク、イラスト
漢字、カタカナ・ひらがな、アルファベット、絵文字
明朝、ゴシック、イタリック、毛筆、手書き風
などもう少し整理しないと。
対象者からみた対象者人数
先日のアウラセミナーでフォローアップインタビューを実施した。
フォローアップインタビューとは、通常通りインタビューが終了したあと、全く別のモデレーターが入ってきて今終わったインタビューを振り返る、というものである。
目的は、
・テーマの理解度や反応(回答)の信頼性がわかる。 ・モデレーターへの評価が取れる。(話づらい印象だったか、わかりやすかったか) ・正直な反応だったか。(あまり、悪いこと言っちゃいけないかなと) ・同調圧力を感じたか。(○○さんの意見は正しいと思ったが、実は・・・)などということがある程度検証できることである。ただ、これはある意味リスキーなことなので、クライアントと握ってからでないと実施できない。インタビューで評価されたコンセプトが、実はほとんど同調圧力によるものだったとわかったら、クライアントにもモデレーターにも相当のショックである。 このフォローアップインタビューで、今回対象者人数について対象者に聞いてみた。今まで何回かFGIに出席したことがある対象者で、今回、はじめて4人を体験した人たちだった。評価は4人のほうが話しやすいということだった。理由は、 ・自分が話すタイミングがとりやすい。 ・話したかったのに話題が進んでしまった、というということがすくない。 ・すぐに打ち解けられた。ということだった。 モデレーターの能力的にも対象者同士の凝集度でも4人インタビューは優れている。