サンクコストは意思決定の問題

池谷裕二先生の『ココロの盲点』からのネタもらいシリーズ第8弾。今回の盲点はサンクコスト。簡単に言うと選択場面で過去の投資を「取り返すことが不可能」なのにそれを考慮して意思決定すること。人間、生きていればこういった場面はたくさんありあますし、「頭がよく、決断力もある」と言われる経営陣の意思決定にもこのバイアスは大きく作用します。というより、経営は投資額も膨大だから、サンクコストにとらわれやすいのかもしれません。

MRの対象者がサンクコストを考える場面は多くありません。ひとつ記憶があるのは子どもの習い事で、当の子ども本人が3年続けた水泳を止めてサッカーをやりたいと言い出したことに対する母親の発言です。「せっかく3年も続けて来て、大会でも3位以内に入れるようになったのに、もうちょい続けなさい」この母親の説得はサンクコストまみれです。今までの投資額(授業料)の話は背後にかくれていますが、時間と本人の継続的努力のコストに拘泥しています。子ども本人がサンクコストにとらわれていないのでおそらくサッカーに転向するだろうと予測できます。この場面での母親の適切な行動(言動)は何なのかはわかりません。