「かわいい!」はおバカな高校生の表現ではない

今回は大学生3人と主婦1人、OL1人の計5人にインタビューした。
まとめとして「かわいい」という表現をどう自覚的に捉えているかインタビューした。
結果が、
・感覚として漢字表現は馴染まない。ひらがな、もしくはカタカナ。
・使用場面が広がった
・使用目的(対象)が拡がった
・使用(許容)年齢が高くなった
・相手との関係性を保持するのに有効な表現
ということであった。

「カッワイ〜!」という表現から「かわいい」に変化しているのであろう。
つまり、おバカな女子高校生が連発している意味不明のコトバというオヤジの思い込みは単なる思い込みで、表現として日本語のなかにきちんと定着してきている。(感嘆詞から形容詞)
使用場面が同性同士の会話から異性や年齢が上の人との会話でも使うようになったし、「かわいい」とする対象も目上の男性にまでつかうようになった。

「かわいい」の便利なポイントはやわらかい自己主張ができることと、ゆるやかな同調を求められることで会話が極めてスムースに進行するとした。
これは分析ではなく、大学生女子が発言した事実である。
「かわいい」は好きの代替表現である。
洋服の話で「これが好き」を「これ、かわいいよね」と言えば、相手も「そうね」と同調しやすくなる。
それを「これ好き」と判断(自己主張)されてしまうと、返答に窮して会話が途切れる危機に突入してしまう。
好きという判断には、判断でコミットせざるを得なくなる。
「これ、かわいいよね」は「これ好き」の自己主張をやわらかく包んでくれて、「ウーン?そうね」同調とも否定ともとれるゆるやかな返答ができるのである。

こうして、空気は流れ会話ははずむ。
この流れの潤滑材として「かわいい」は高度に純化されつつあるのだろう。