場の共有

数十年以上変化の乏しかった調査業界に久々にイノベーションをもたらしたのがネットリサーチである。
(その前のイノベーションはコンピューターによる集計。特にPCでデスクトップで集計・分析ができるようになったことか)

ネットリサーチが圧倒的な費用効果によって従来の方法を駆逐したが、その中味は
・サンプリング(抽出)
・調査員と(紙の)調査票
・フィールドワーク(調査員指示から回収まで)
・データ入力
などである。

きょうは、Web調査がリサーチから「場の共有」という概念をなくしたことをとりあげる。
郵送調査やFAX調査を除けば、旧来の調査では、調査主体と対象者の間に「場」が共有されていた。
訪問面接ではもちろんのこと電話調査でも(電話回線を介して)調査主体と対象者が「場」を共有していた。
この場の共有から生まれるメリットは
・調査対象の確認(確認できるので対象として信頼できる)
・調査対象が持つ(ことを期待される)調査主体への信頼
・双方の信頼から生まれる調査へのラポールの高まり
などが考えられる。
これら「場」の共有がもたらした(であろう)メリットを深く考えたことがなかったが、なくなってしまってからではなんともしがたい。

さらに、現在、「場の共有」を必然とするのはインタビュー調査(定性調査)だけになっているが、それもWebの価値である「自動的に蓄積される膨大なデータ」と「オンラインのコミュニティ」によって「場の共有」を必然としない分析(調査)の可能性が高くなってきている。

そういった状況で、リサーチにおける「場の共有」の効果を考えておくことは案外大切かもしれない、考えた次第である。
次のようなテーマがあるだろう。
・場の共有の効果とは何か
・場の共有によるデメリットは何か
・リアルな場と仮想的な場(Web)との違いはあるか、あるとすれば何か
・場のコントロールの方法は2者でどう違うのか
などがありそうである。

ダンバー数なども場の共有が影響していそうである。