論理チェックの落とし穴

ネットリサーチ会社に調査票の作成(Web画面)を依頼すると会社さんによっては厳密な論理チェックを設定してくれるところがあリます。
回答分岐など作成者側では気づかない細かいチェックをしてもらってたいへんありがたいチェックです。
回答分岐以外でもいろいろな論理チェックがあります。
例えば、クルマの調査で、買った車に「ニッサンフーガ」とチェックがあり、
そのブランド選択理由の質問で
・軽だから燃費がいいので とか
・西ドイツ車に乗ってみたかったから のような
項目にチェックがあったら確かに論理的におかしいとなります。
前者(車種名)が正しいか、後者(選択理由)が正しいかは、対象者に聞き直すのがよいのですが前回のエントリーでも書いたようにネットリサーチはそのような面倒な(合理的ではない)手続きは採用しません。
最悪、この調査票は捨てられてしまう可能性があります。
生かすには、前者か後者のどちらが正しい(事実)かどうかを決めなければなりません。

この場合では、フィードバックのない前向きの論理で、フーガは軽ではない、ドイツ車でもない、という事実によって後者(選択理由)の回答は削除されてしまう処理が多いようです。
これを避けるために調査票作成段階で論理チェックを行い、「フーガ」と回答した対象の選択理由の画面の選択肢から、あらかじめそのような理由を抜いてしまうのが、最も合理的です。
そして、このような論理チェックを徹底的に行ってくれる場合があります。

これを徹底すると最初の質問をいくつか回答するだけで、その後の回答はある収束点に向かって収斂していくようなことが起こり得ます。
調査は事実の厳密な測定が第一の目的ですが、意外な発見や気づきもあればうれしいものです。
行き過ぎた論理チェックはこの可能性を極端に小さくしてしまいます。
論理的ならざる消費者意識や行動を測定するためには一定程度の「ゆるさ」が必要なのでしょう。