アナログアイトラッキング

プロービングの方法のひとつになるかと思い、アイトラッキングをやってみた。
アイトラそのものが目的ではなかったのでインタビュー中で「ちょこっと」やった程度である。

アイトラッキングの装置、機械は費用が高い割には「分析しやすいデータ」を提供してくれない。
機械は視線の動きを精確にトラッキングしてくれるので、感覚・知覚の分析には有効なのであろう。
ただ、マーケティング分野では、感覚・知覚でだけではなく、「認知レベル」での分析ができないとなかなか有効活用できない。
そうなるとどうしてもインタビューか質問紙で対象者に「聞く」必要がでてくる。
聞かれても対象者は「なぜ、自分がこの部分を注視していたのか」はうまく回答できない。
認知まで到達していない知覚は言語表現できないのである。

そこで、費用の高い機械を使うのを止めて、対象者の認知レベルの視線(関心)の動きをアナログで取って、その場でインタビューする方法を採用した。
これを勝手に「アナログアイトラッキング」と呼んでいる。
具体的には
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パッケージ写真を見せて、「視線が行ったところを順番に番号を書いてください」と指示し、書き終わったところで「どうしてここに注目したか」をインタビューする、という簡単なプロセスである。
機械的なアイトラに比べてバイアスだらけではある。
・感覚、知覚を飛ばして「認知」を直接聞いている。
・認知はそのときの知覚そのままではなく、あらかじめ持っていた認知地図の中にポジションされる。
というだけでなく、ここにいたる前にCook Doに関してさんざんインタビューを受けたあとのアイトラである。

機械との比較をしていないのでここからは想像の話だが、
・文字部分に視線が行っているのは「認知=意味」であるためのバイアスであろう。
・Cook Doのシズルカットの注視したのは「レンゲに載った」ことでの「動き」がそうさせた。
・無添加に注視しているが、価格に視線が行くと「購入意欲」はなくなる。(インタビューから)
などのことが言えそうである。

感覚・知覚から認知までをつなぐプロセスを測定できる「装置」を開発しないとアイトラッキングはマーケティング分析には使いづらい方法のままであろう。
アナログアイトラの方法を工夫した方が安上がりになる気がする。