「老」と健康コンセプト

自分が年老いた、若くないと実感するのはいつごろだろうか。若者のインタビューで高校生(男子)が中学生(厨房)を見ていて、「あいつら若いな!もうあんな元気は俺にはない」とつぶやいたのが最も早い老いの実感である。女性の場合は高校生くらいの肌を見るとその輝きに嫉妬するという発言だから大学生・OLになってからであろう。大体18~20才で老いを感じる。

自分が失ったわけではないが自分より元気だったり、きれいだったりするのを見て、そういった過去が自分にもあったことを思い、「もう、若くない」という感情がわく。でも、この感情の中には「まだまだ、私も」という気持ちがあるので落ち込むことはない。さらに長じると、「昔のようにオールで遊ぶと疲れが残る」「化粧落とさずに寝てしまった翌朝の肌が回復していない」などの実体験の話題が多くなり、このころは結構真剣に老いを意識する。この「昔に比べて」ということが、その後延々と続いて、最後が自分が「老人」であることの人生最悪の自覚が訪れる。この時期は個人差が大きく、肉体的老いよりも心理的、社会的老いの要素が強くなる。

この老いの自覚の各段階で飲食品の健康コンセプトの訴求内容・形態が変わる。初期は健康の中でも付加・付与する機能が重視される。中期に入ると健康診断という悪しき制度のためもあって、心理的な健康観が強くなり、機能としては付加・付与よりも「減」がコンセプチュアルになる。そして最終段階は、老から病になりその先に死が見えてくるので健康コンセプトの中身は宗教的、オカルト的、狂信的な要素が強くなる。