「生きるための経済学」安富歩

NHKブックスの2008年です。
経済学とありますが、経済学の勉強には役立ちません。どちらかと言えば哲学書です。
経済学に対するありきたりの批判「合理的経済人のウソ」「過剰な数学的装飾」とは角度が違ったいわば根元的批判の書といえるでしょう。
興味深かったのはポランニーとチューリングにかんする記述でした。
協同現象と創発チューリングテスト暗黙知、などポランニーの思想を自分も誤解していたことがはっきりしました。
石井淳蔵さんが言っていたことがようやくはっきりとわかる気がしています。

もうひとつ、ハラスメント概念の新しい定義です。
自分の解釈では、コミュニケーションの学習・理解過程で「欺瞞」が生じ、相手のメッセージをわざと誤解、曲解して相手に攻撃的なメッセージを送る、2人の関係性に上下関係があれば一層だが、ハラスメントを受ける側は「相手は悪くない。相手は自分のことを思ってこういう対応をする」と思い込むことで生きずらくなる、ということになります。
ベイトソンの「ダブルバインド」概念を連想しました。

来週はドラッガーを読み直します。

生きるための経済学―“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)生きるための経済学―“選択の自由”からの脱却 (NHKブックス)
(2008/03)
安冨 歩

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