喫茶店とノートPC

久しぶりに五反田の喫茶店に行ってみました。
都内でも数少なくなった「コーヒーを飲ませる」喫茶店です。
10年ぶりくらいですが変わっていないところと変わってしまったところがあります。
マスターは老眼が進んだらしくメガネのフレームが変わり、顔が老人らしくなりましたが、コーヒーをいれる手つきは当時のままです。
相棒が息子かと思われる男性から、奥さんかと思われる女性になっていました。
そのためか、客筋に普通のおばさん(主婦)がいて、独特の甲高いおしゃべりが聞こえました。
昔は客そのものが少ないし、マスターもそれを気にしない風で、大声げしゃべる客はいませんでした。(自分が酔っ払って行ったときは別。)
そうかといって、「黙ってオレのコーヒーを味わえ」というような威圧的雰囲気はありません。
あるとき、店にかかっているワイズバッシュの絵に話を振ったらマスターがうれしそうにファンであることを語り始めましたが、おしゃべりな人ではないので、すぐに仕事にもどってしまいました。
この画家は動きのある描き方が特徴で、ボクが教科書や評論の助けを借りないで、絵そのもので「イイナー!」と思った最初の画家です。
オクテの高校生だったころ、銀座の画廊に初めてひとりで入ろうと決意し、1丁目から8丁目まで歩き回って、とうとうその画廊を発見することができなかった徒労感という甘い思い出のある画家です。
話題にしたのはチェロを弾く男性の絵(版画?)で、店内はバッハの無伴奏チェロソナタが流れていたはずです。(思い出を美化しているかも)
こんな店です。

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店の名前もあるのですが覚えられません。
当時はこの店のカウンターで時々報告書を書いていました。
店に持ち込むには大きすぎるノートPCだったので、レポート用紙に手書きし、会社に帰ってワープロで清書してもらうという牧歌的な時代でした。

こういった喫茶店は絶滅危惧種です。
バブルとスタバの侵略で、生存圏のかたすみで息をしています。
この店もマスターの代で終わるでしょう。たぶん。
でも、それはそれでしかたのないこと。