プロービング

一般的なインタビューとは、
・インタビュアーとインタビュイーがいて
・インタビュアーはインタビュースクリプト(聞きたいことの一覧)をつくる。
  (インタビュイーの方が上位だと事前に提出を求められる)
・インタビュー時間が決められ(インタビュイーが乗ると時間オーバーがしばしば)
・予定通りの質問にほぼ予定通りの回答が得られる(ごくマレに思わぬ発言がある)
と言うようなものである。

インタビュアーはインタビューの消費者(テレビ視聴者、読者)が聞きたいだろうこと、インタビュイーが聞かれたいだろうこと(しばしばこの二つは表裏一体だったりする)を質問し、あらかじめわかっていたことを聞き出すことに精を出す。
それが楽しいインタビューであり、売れるインタビューなのである。
売れるインタビューができるインタビュアーは自分が売れることになる。
ここでのプロービングはストーリーの穴を埋めるものであり、インタビュイーの心情の本質からわずかばかりズラして、従来のストリーに新たな意匠を少し加えることを目的としている。
それらは「衝撃の発見、告白」というタイトルで飾られる。

ではマーケティングインタビューはどうか。
・モデレーター(インタビュアー)と対象者(インタビュイー)に分かれる
・モデレーターはインタビュースクリプトを作る(対象者に事前に見せない。クライアントには了解を取る)
・ほぼ確実に予定時間をオーバーする(あれもこれも聞きたがる)
・時間の経過とともにモデレータの意図を理解しすぎた回答者が出来上がっていく
という場合が多いのではないか。

対象者はインタビュイーとしての訓練を受けていない前提があることもあって、発言は全て不完全で、文脈も一定していないとされる。
そこで、モデレーターのプロービングは不完全なものを「補って」完成度の高いストーリーを作ることを目的とする。
重要なのは、
・常識的な判断(ステレオタイプと批判される)
・依頼者(クライアント)の意図を斟酌する(誘導と揶揄される)
の2点である。
ここで、常識と、クライアントの意図を無視して対象者と全く新しいストーリーを作るようなことを試したい。
プローブとは別方向で発散、分解、意味不明に思いきり振ってみたい衝動に駆られる。

その可能性をアクティブインタビューは持っていると思う。

*プロービングの5原則
? 時間的、空間的広がりを促す(いつから、どこで)
? 関係性を意識させる(比較、対照、仮定)
? メタファーを引き出す
? ラダーを意識させる
? 感情的プレッシャーをかける(そんな人見たことも聞いたこともない)