シニアの帰巣本能

60代の女性2人。
ひとりはクルマの運転の話。
近所の買い物でも何でもクルマで、毎日のように運転し、運転は好きだと言っていた。
そのうち、驚くべき発言が。
「自宅からスーパーに運転して行って、次に市役所に行く用事があったとして、スーパーから市役所への道は知っているし、ナビもあるのだが、一度、自宅に帰ってからでないと市役所に行けない。時々、やってみるが必ず迷って時間がかかる。」

もうひとりはネット検索の話。
ネット検索していると自分がどこにいるのか分からなくなる。
戻るボタンでも戻らない時があるし、思った画面に戻れないことが多い。
すると、×でネット接続そのものを切ってしまわないと不安になる。壊してしまったのでは?と思ってしまう。
だから、ネット通販でも慣れている楽天でしか買ったことがないし、買うものも決まっている。
最近、スマホに触ってみたが、タップするととんでもない方に飛んで行ってしまい、もちろん、元に戻らないのですぐに止めてしまった。

最初の人は空間把握能力の問題だとおもうが、ここでシニアの特性として帰巣本能というか、自分の拠点から離れると不安になるということがあるようである。
次々と新しいことに出会って、出発地点から遠く離れても不安になるどころかワクワクするという若さがなくなっているのである。
守るべき子供たちは巣立っていて空っぽの巣でも家に帰りたいのかもしれない。

シニア向け商品・サービスを考える時、考慮すべきポイントかもしれない。
アクティブシニアと言っても全くの未体験ゾーンには手を出さないと考えた方がよさそうである。