老いてる犬

我が家の飼い犬はたぶん、18歳を過ぎて19歳目の満年齢をめざしている。

妻に近くの駅まで車で送ってもらう朝、ほとんど目が見えない状態の仔犬4匹が、片側1車線の道路を固まって渡っていた。
「どうする?」「帰りもいたら、拾っていく」となり、その日家に帰ったら2匹だけ段ボールの中できれいになって元気だった。
帰り、ほとんど同じ場所に3匹だけ固まって啼いていた。拾って獣医(ペットショップ)に連れて行ったら、洗ってくれて、ミルクももらって、ちょうど居合わせた人が1匹欲しい、ということで2匹が我が家にいるということだった。
翌日、獣医から聞きつけた人が欲しいというので、もう1匹もいなくなり、ブリだけが残った。
その1匹がもらわれて行くとき、娘が泣いたのには驚いた。
そう、我が家の犬は残り物。
散歩、エサやりは定石通り、すぐみんな飽きてオレの仕事になった。
たいした躾もせず、ずっと庭で飼っている。

ここ数年、こっちが腰を痛めたせいもあって、ブリの世話は妻と残っている息子の仕事になっている。
このところ、ブリの老化が進行した。
目、耳だけでなく、鼻もほとんどダメになってしまい、激しく振って感情表現していた尻尾もダランと下げたままである。
時々、幻に向かって吠える声もかすれることが多い。
ペットであるから、世話されているから生きているだけである。

近い将来、自分もこうなる。
こうなる前に何とかなりたい。
死に方くらいは自分で選べるうちに死にたいものだ。人間だし。