FGI対象者のペルソナ

油谷遵『マーケティングサイコロジー』p136 被面接者の分裂
分裂という恐ろしい表現を使っていますが、簡単にはFGI出席者の中での「困った人たち」のタイプ分けのことです。
油谷さんはまず、1人の対象者としての振る舞いとグループの中での振る舞いに分けています。
?沈黙の批判者
?批判者
?クライアント代行者
という3タイプを1人の対象者としての振る舞いとし、
?擬制司会者
?リーダー
?攻撃者
の3タイプをグループであるが故に出てくる振る舞いかたとしています。

?沈黙の批判者とは、とにかく提示されたコンセプトや商品が嫌い、ダメと思っている対象者でたいていの場合は「黙り込んで」で自分の否定の意志を表します。あそこがダメ、ここが嫌いと発言しているうちはモデレーターもなんとか対応できるのですが沈黙されると手のほどこしようがありません。
中には社会全体(商品経済)全般に否定的というひともいますが、こういった人はめったにFGIには出てきません。
?批判者は時のジャーナリズムの主流の意見を自分の意見のように言うタイプです。
たいていの場合はタテマエ的発言や〇〇すべきという発言の仕方になります。
このタイプは「あなたはどう考えるんですか?あなた自身の考え、気持ちが知りたい」と切り返すことができます。最近は、ネットジャーナリズムの強い影響を受けている人も見られるようになりました。
自己紹介の時、SNS、ブログ、2chの閲覧状況をチェックしておく必要があります。
?はクライアント側の事情を妙に理解しようとする人たちです。
ここの材料を変えることなるとコストアップなるから無理だよね。などとメーカー、開発者側の立場を理解しようとします。このタイプも比較的わかりやすいので「イヤイヤ、あなたの意見は?」で切り抜けられます。
?擬制司会者はモデレーターの立場を代行しようとするタイプです。
みなさん、どう思いますか?とか、みなさんの意見はこういうことですよね、などと仕切りたがるタイプです。
これへの対応は毅然と司会は私であなたではないと告げることで解決します。(しない場合もある)
?リーダーは、デブリーフィングで「3番の人がひっぱったよね」と言われるタイプです。
どんな場面でもまっ先に発言し、他の人の発言のかぶせて発言し、「誰でもそう思いますよね」などと全体をリードしようとします。単なる目立ちたがり屋の場合が多いので、どこか弱点を突いてやるとおとなしくなります。
?攻撃者タイプは多くありません。
例えばタバコのFGIに嫌煙団体のメンバーが入ったり、グリーンピース的団体のメンバーだったりする場合は「お引き取り」願う他ありません。
ただ、「アイツは虫が好かない」という感情である特定の人を攻撃し始める人がいます。
初対面でも好き嫌いがあるので仕方ないとはいえ、モデレータとしては攻撃されている人の味方になる他ありません。

FGIは社会の縮図と考えれば、どんな人がいてもおかしくないとはいえ、マーケティングのインタビューですから、できる限りリクルーティング段階で排除するようにすべきです。