小説書きのインサイト

小川・岡ノ谷『言葉の誕生を科学する』を読んで始めて小川洋子という作家に興味を持って本を探していたが小説より先にエッセイ集が見つかってしまった。小川洋子『物語の役割』を読んでいて、これはインサイトではないかとふと思った箇所。P71
「ストーリーは作家が考えるものではなく、実はすでにあって、それを逃さないようにキャッチするのが作家の役目である」それ以前に小説のテーマも考えるものではなく「やってくるもの」である。というようなことを述べている。
もちろん、ただボーっとしていれば小説のテーマやストーリが「やってくる」ことはなく、小さな手がかりを心の中で反芻するという作業(努力)は前提ではある。

ここで、何かを理解するということは、それについて「物語る」ことである。という藤井直敬さんのツイートが思い出された。
インサイトとは『「物語」のテーマやストーリーが言語以前の状態で意識の表面近くに浮かび上がった状態』という、自分なりの定義が出来上がった。インサイトに関するインサイトである。

さらに小川さんは、「言葉は常に遅れてやってくる」とも書いている。
インサイトとその表現の間にもギャップがあるのだろう。
言葉を使う芸術のアポリアみたいなものか。

岡ノ谷さんは「言語の獲得は滅びの始まり」(正確な記憶ではない)とも言っていた。

マーケティング(リサーチ)でのインサイト。。。

小川洋子の作品も読まなくては。