消費者インサイト

@simfarmさんのツイートに触発されてインサイトについて考えた。
特に消費者インサイトについて。
消費者インサイトとは消費者がブランド選択をする時の「最後の決め手」「最後に背中をひと押しする要素」としておこう。

例えば、
駅近だが間取が狭く手ごろな価格のマンションAと、駅から遠いがもっと広く気に入った間取りでだいぶ高いマンションBとで悩む消費者が、買い物の利便性など周辺環境を比較検討して最終的にBを選択した。
この時の消費者インサイトは何だろう。
コンジョイント分析などで価値構成要素とその構造を分析し、最も重視度の高かった要素、あるいは時間的に最後に検討された要素をインサイトとしていいのだろうか。
これならインサイトなどという表現を使わずに「最重要項目」とか「最も強い購入理由」とかの従来の表現の方がわかりやすい。
そうではなくて「思いかけず両親から資金援助の申し出があった」という理由が「最後に背中を押した」のであれば、これこそがインサイトになりそうだが「?」が大きい。
また、マンションAの駅前は汚く治安が悪いのにBはいわゆる高級住宅地で将来の子供の教育環境が決め手となったのなら「将来価値、教育環境」がインサイトであろう。
ただこれも「差別的優位性の発見」であって、それを「インサイト」と言い換える理由がわからない。

以上は、消費者自身の心理過程(購買プロセス)に起こることであり、インサイトとは、消費者自身が自分の心理過程を「洞察」することになる。
ではマーケティング(リサーチ)から見たインサイトはどうなるか。
マーケターかリサーチャーが、ブランドBについて(ブランドAとの比較において)最終的な購入意思決定を促す要素を発見する(気づく)こととしてみる。
先の例でいえば「思いがけない親からの資金援助」は消費者個人のインサイトではあるが、マーケティング的には意味がない。(親子関係はマーケティング的にコントロールできない)
「将来価値、教育環境」はインサイトと言い換えられそうだが、インサイト本来の意味である「洞察」というほどの飛躍も深みもない。
単なるコトバ遊びになってしまう。(マーケティングはこのアソビが好きだが)

ということで、結局、私も、実は、インサイトについて納得的な理解はできていないという結論になりそうです。

ただ、講演とかプレゼンでは質問封じのために積極的に使っています。