後藤秀夫先生を偲ぶ

標題の遺稿集と追悼文をいただいた。
後藤先生とは15年以上同じ会社にいたが、最後まで深い接触はなかった。
それが残念でもあり、仕方なかったと納得してもいる。
自分がパネル部門に在籍していたためもあって業務での接触がなかったことが大きな原因と思われる。
磊落な先生だったのでおつき合いしようと思えば何の抵抗も無いはずが、酒席を共にさせて頂いたのも2、3回しかないと記憶している。
僭越だが、なんとなくウマが合わなかったということであろうか。

細かいいきさつは忘れたが、当時、カルピスに土田さんという名物(迷ブツ)課長(部長?)さんがいらっしゃって、パネルデータにクレームを付けてきた。そこでパネルの設計にまで話が進んだ時、「もう、後藤先生に出てもらうより仕方ない」ということで同行して頂いた。
土田さんの高慢な態度にこちらはハラハラしたが、先生が一気にまくし立てたらさすがの土田さんも黙り込んでしまった。別に気まずい沈黙ではなく先生の圧倒的な知識力と論理展開に圧倒された様子であった。
土田さんは高級そうなスーツをスキなく着こなしていたのに、我が先生のツンツルテンのスーツと靴にまで垂れ下がった靴下の対照が印象的であった。

遺稿集の46ページにシナリオイメージ法(1988)があるが、これなど今でいう「ペルソナ法」であろう。
統計に造詣が深いだけでなくこういった発想の豊かさが先生らしいところである。