清貧の思想

バブル崩壊後の不況のなか「清貧の思想」がベストセラーになったのは1995年頃か。その本は読まなかったが、今回の不況でもそういった本が出ているのかもしれない。
不況のただ中にいると「もう、景気は回復しないのでは、日本経済は滅ぶのか」と悲観的になるし、バブルの最中は「これはバブルではない、半永久的に続く好況だ」と超楽観的になる。好・不況には繰り返すトレンドがあると教科書で習っても「今度は違う。今度だけは。」と思いたがるのは何故だろうか。

今回の不況はいつ終わるのかは見当もつかないが、この不況が終わった後にどのような消費行動の変化があるのだろうか考えている。(ヒマなので)
もちろん、ほとんど変わらないという答えもあるが。
まず、高額ブランド品を買い漁る消費行動は復活するだろうか、である。
マスコミは「バカな、背伸びした消費行動」と批判していたが、2割以上を日本で売り上げたブランドもあったのだから日本の消費の実力が測れる指標である。
復活すれば「変わらない」が回答になるが、ブランド志向がなくなるとして、それは日本の消費者が成熟したことによるのか、経済の回復の力が足りないからなのかの分析が必要だ。

もうひとつはEDLPを日本の消費者が受け入れるかどうかである。
不況期に低価格指向になるのは当たり前だが、前回の不況期に西友を前面に日本に進出したウォルマートは苦戦続きで、欧米流の小売りは日本には向かないと結論されかかっていた。
それがリーマンショック以降、西友の売り上げ、利益とも伸びているらしい。マスコミはこれらとH&Mやユニクロの動向をからめて日本の消費者と小売り構造が変化しているとコメントしているがはたしてどうか。
世界一厳しいとおだてられた日本の消費者の目(選択眼)も価格だけを選択基準にしてしまったと読めるコメントである。

EDLPは単調な日常を単調なまま受け入れる怠惰だと自分は考える。日本の消費者は日常の買い物を作業や仕事とだけ捉えるのではなく、選択の楽しみも加えて単調な日常に小さなメリハリをつける智恵を持っている。
EDLPがほんとに定着するときは日本の消費がつまらなくなる時、ほんとに低迷するときと考えている。