エスノグラフィー

最近の流行らしいエスノグラフィーに関して、早めに追いついておこうということと、できれば自分達の新商品にしようという魂胆からカテゴリーを設けました。
40年も前ですが一応社会学専攻でシュッツの「現象学的社会学」は読んだはずですし、ゼミはまさにこのエスノグラフィックな都市社会学でした。我々の5年くらい後輩は池袋のアジアンタウンで数ヶ月、正当なエスノグラフィーを実施して本まで書いています。(最も本で知っただけです)
社会学ではエスノメソドロジーという言い方をしていて都市社会学のコトバだと理解しています。エスノグラフィーは文化人類学から発展してきたようですが、この辺のことは勉強不足です。

有名なのは佐藤郁也(字が違う?)さんの「暴走族のエスノグラフィー」で、確か1年近く暴走族と一緒に生活して(参与観察というらしい)内側から暴走族の生態をあきらかにした力作です。ただ、この後のエスノグラフィーはオタクの世界に入り込み、参与観察どころかオタク自身が観察記録を書くという方向にずれていったような気がします。(岡田斗司夫さんとか大塚英司さん達もそうだとボクは思っています)オタクがネタ切れで最近はヤンキーに主題は移行しています。

佐藤さんの研究は別格ですが、その後は参与観察も行わず、事件報道やWeb上の記事だけをネタに過剰な意味づけをしたストーリー作りに専念する「批評家」の隠れ蓑(1、2人にインタビューしただけでエスノグラフィーを名乗る)に使われているようで残念な状況です。オウム真理教、少年の猟奇犯罪、秋葉原事件などエスノグラフィー的感想文のネタは豊富にあります。

マーケティングリサーチの世界でエスノグラフィーが語られるようになった背景として、
・多変量解析を含めた定量分析の限界(これは昔から言われていたことですが)
・FGIの集団面接化による限界(訪問面接調査を6人集めてやるようなFGI)
・グローバルメーカーの誕生によりローカル市場の分析の必要性が出てきた(ネスレ、P&G)
などが考えられます。