世界経済はこう変わる

小幡績さんと神谷秀樹さんの対談です。
2人とも今回の金融危機が強欲資本主義を終わらせたというとらえ方をし、これからは新しい資本主義が始まるという視点です。前者は納得できるのですが、後者、これからどうなるという本書のキモの部分はよく理解できません。
教育に投資しろ、日本の文化に根ざした新しい?組織論をつくれ、物作りオンリーから文化(デザイン)に注力しろ、という提案がランダムに出てきていますが、それが、今回の危機への処方箋にまでなっていません。(最も、処方箋が書ける人なんていませんが)

「だいたいポールソンをはじめとして、なぜゴールドマンの人たちが政権に入ってくるかというと、要は、タックスホリデーをもらえるからなんです。基本的に彼らは、国のために尽くそうという気持ちはあまりないと思います。」(p84)
これは、日本の政治家に対する批判と同根で、カネに汚いと罵っているだけのような印象です。金融危機の渦中で自分のカネもうけだけは確保した部分に過剰に反応しているのではないかと思います。こういった過剰反応からは清貧な政治家・行政官という「ないものねだり」しか出てきません。

何冊か本を読んで、今回の危機の原因とプロセスはだいたい理解できましたが、今後どうなるかはわかりません。
世界中が石器時代のようになるから、今年後半にはどこかにバブルが膨らみ始める、までの範囲でみんな具体的なことは何も言えず、イメージだけを語っています。