「たまたま」

タレブの「ブラックスワン」と同じ主張をしていると考えて間違いないとおもう。 こっちは相場師ではなく、ムロディナウという理論物理学者の本。原題は「ドランカーズ・ウォーク ランダムネスはわれわれの人生をどう左右するか」というタイトル。 その248…

「アスペルガー症候群」

幻冬社新書、著者は岡田尊司さんという臨床の精神科医です。 アスペルガー症候群の改善方法として、言語療法において語彙を増やすこと以上に、話題を共有し、交互に双方向の会話をおこなうスキルを高める必要がある。さらに何度は高くなるがユーモアや比喩や…

中島敦「山月記伝説」の真実

文春文庫の720です。 買うときから止めようかなと思っていた通りおもしろくない内容です。 ヒガミとはわかっていても筆者を含め、一高、東大コースの秀才達の内輪話です。エリート故の複雑微妙な心理はわかりますが、二流、三流の高校・大学を出た身とし…

「仏教が好き」

河合隼雄と中沢新一の対談集。2003年の出版。 佐々木閑さんの「犀の角たち」を読んでいなければ、中沢新一のトンデモ本的傾向がハナについたかもしれない。量子論とブッダの思想というより行動の関連性などが佐々木さんの本を思い出しながら改めて理解できた…

「生きるための経済学」安富歩

NHKブックスの2008年です。 経済学とありますが、経済学の勉強には役立ちません。どちらかと言えば哲学書です。 経済学に対するありきたりの批判「合理的経済人のウソ」「過剰な数学的装飾」とは角度が違ったいわば根元的批判の書といえるでしょう。 …

山田詠美 「学問」

おもしろかった。 女性の視点からの映画「スタンドバイミー」と言った印象。 4人組の生き生きした人間関係、成長しているようで子供のままの心情。 エロティシズムを慎重に避けたと思われる性描写。(新境地だと思う)よくわからなかったのはテンちゃんが普…

水とはなにか

ブルーバックスで新装版とあるから古い本なのでしょう。 水は空気とともに地球の生命を育む重要な物質で、地球の他に水と空気がそろった惑星はない。 0°と100°で相転移し、個体・液体・気体になる程度の知識しかありませんでした。 この本では、水はそん…

日本人の脳に主語はいらない

日本語衰退論、日本語固有論とも違う脳科学からの言語と思考の話。最近読んだ「ミラーニューロンの発見」と連動させてみると大きな理解が得られる。ヒトはイメージするときに体を動かしているという発見は具体的にはミラーニューロンが発火することであろう…

リーマン予想

昨年破綻した金融会社でもないし、サラリーマンの競馬予想でもない「リーマン予想」、ペレルマンによって解決されたポアンカレ予想も何のことかわからず、彼がフィールズ賞を拒否して行方をくらました話題からさかのぼった後ろめたさから、そろそろ解決のウ…

ナンパを科学する

タイトルが面白くて読みましたが、看板倒れでした。 著者は「ナンパ」されやすいタイプで、周囲には美人で色っぽいにもかかわらずナンパされた体験がないか少ない女性もいて「なぜだろう?」が出発点だったそうです。ナンパを科学する ヒトのふたつの性戦略(…

「買う気」の法則

広告崩壊時代のマーケティング戦略と副題のある山本直人さんという博報堂にいらっしゃった方のアスキー新書です。広告作業の流れとして「総合戦略立案」と「メディアプランニング」は広告主側で行うべきで(行うようになり)広告会社は「クリエイティブ」と…

ブラックスワン

ベル型カーブ → 閉じた世界 → 計画・予測 → 大きな政府 → 集産主義 → 黒い白鳥 マンデルブローカーブ → 拡張可能 → おおまかな予想 → 小さな政府 → 自由主義 →黒い白鳥を予想ベル型カーブ → 定量調査 → 誤差計算 → 過去の確認 → 線型予測 → 平凡なコンセプト…

坂道美学

タモリのTOKYO坂道美学入門(2004/10/16)タモリ商品詳細を見る本棚の隅から出てきて思わず読みふけりました。 当時は自転車のヒルクライムレースにチャレンジし始めた頃で、練習場探しで買ったような気もします。この本の中に知ってる坂を見つけて喜んでいた…

はじめての現代数学

数学にいわれなき憧れを抱く人は多い。偏見を恐れずにいえば、そうした人は大学受験前に数学を諦め、理系もあきらめた人である。数学ができて、絵が描ける、音楽ができる、作家である、経営者である、となるとそれだけで自分の数百倍豊かな精神をもっている…

原理主義と一神教

日々是修行 現代人のための仏教100話 (ちくま新書)(2009/05/09)佐々木閑商品詳細を見る佐々木閑の「犀の角たち」「出家とは何か」を読んで、釈迦の仏教に強い興味を持ちました。この本は朝日新聞に連載されたコラムをまとめたものらしいです。2冊を一般向け…

自己組織化とは何か 第2版

ブルーバックスは時々読みますが、科学の専門家が一般にわかりやすく説明するというコンセプトを実現できている本は少ない。もちろん、こちらの知識、理解力不足が問題なのであろうが、文章そのものがわかりにくいものもある。 その点この本は5人の共著にな…

本屋の楽しみ

なんとなく元気がない、なにをやってもしょうがないと軽いウツを感じたとき、本屋に行って元気になって帰ってくることがあります。 そういうときは、普段行かないコーナーに行きます。 怪しいと思われてもいいので女性雑誌コーナー、フーゾク関係、英語学習…

マルクスの亡霊たち

ドゥルーズの「差違と反復」は5ページで投げ出しましたが、これは文庫本でなく5000円もしたので無理して読みましたが、やっぱり理解は無理でした。 まさに年甲斐もない読書です。ところで生きることを学ぶ=教えること、それを1人で、自分から学ぶこと…

世界経済はこう変わる

小幡績さんと神谷秀樹さんの対談です。 2人とも今回の金融危機が強欲資本主義を終わらせたというとらえ方をし、これからは新しい資本主義が始まるという視点です。前者は納得できるのですが、後者、これからどうなるという本書のキモの部分はよく理解できま…

資本主義と自由

ご存じミルトン・フリードマンの1962年の本だそうです。 解説の高橋洋一さんが言う通り、現在の世界に対する処方箋として読めます。 感心するのはあらゆる現象を冷徹でリアルに分析できる分析力です。 政治・経済分析に当たって「理想、善意、平等、正義…

狩猟と編み籠

2、3年前から芸術人類学を提唱して多摩美に研究所まで作らせた中沢新一の本で、買ってから1年たって読みました。 中沢新一は出版されたものの8割暗いは読んでいると思いますが、読んでいるときの「語り口」の良さにだまされているような気がしてなりませ…

テロと救済の原理主義

小川忠さんという人の2007年の本です。 ここに指摘されているように自分も中東で頻発する(自爆)テロはイスラム教という「一神教の他者対する不寛容」によるものと考えていました。 一神教も多神教も関係なく、社会が近代化される過程で表れる「尊厳の…

「食料危機」をあおってはいけない

川島博之さんというシステム工学(OR)の専門家が農水省に「環境問題のシュミレーション」のために出向していた時に食料問題を研究した成果のようです。(現在は東京大学大学院準教授) 川島教授も農水省に行った時は、漠然と ・人口爆発と耕作地の限界 ・…

ヤンキー進化論

難波功士さんの本です。 難波さんは関西出身で関西の大学の社会学部の先生です。 そのせいか、関東のヤンキーとは少しニュアンスが違うようです。前回に続いて1960年代のヤンキーのプロファイルを描いて見ます。・よく、ホンモノのけんかをした。(ホン…

ヤンキー文化論序説

五十嵐太郎さんの編著で最近出た本です。 ヤンキーの定義がはっきりしませんが、オタク文化論が行き詰まった(?)現在、オタクより古いと思われるヤンキー文化について再考するといった印象です。自分自身は団塊世代のシッポの方ですが、そのころからヤンキ…

進化倫理学入門

進化論に基づいた倫理学ということらしいですが、納得性は弱いと思いました。 「利己的なのが結局、正しい」と副題にあるようにドーキンスの利己的な遺伝子概念で「嘘を付いてはいけないと子供に教える理由」から経済、人間関係、愛情関係、最後に「正しい社…

遠くまで行くんだ

涙が涸れるきょうから ぼくらは泣かない きのうまでのように もう世界は うつくしくもなくなったから そうして 針のようなことばをあつめて 悲惨な 出来ごとを生活のなかからみつけ つき刺す ぼくらの生活があるかぎり 一本の針を 引き出しからつかみだすよ…

マルチチュード

3年遅れの読書。 ネグリ・ハートを1人の人物と思いこんでいたくらいです。 「わかりにくい」、マルチチュードの概念と現実の政治、経済、社会がどう関係するのか、マルチチュードと新概念として提示する意義が理解できない。 (まっ、「帝国」さえ読んでい…

野生の思考

私はほかの所で、「歴史なき民族」とそれ以外の民族を分けるのはまずい区別であって、それよりも、「冷い」社会と「熱い」社会とを区別するほうがよかろうという考えを述べておいた。冷たい社会は自ら創りだした制度によって、歴史的要因が社会の安定と連続…

動的平衡

「生命とは動的な平衡状態にあるシステムである」という宣言は新鮮だし納得がいく。 ヒトの60兆個の細胞は数十時間で全て生まれ変わる、死なないと言われる神経細胞も細胞を構成し活動させるタンパク質は入れ替わっている。 生命は「流れ」の中に浮かんで…