でじたる・だぶる

近未来のAIは「デジタル・ダブル」だと日経サイエンスでP.ドミンゴスというワシントン大学の先生が叫んでいる。

理解した内容は、AIの進化によって殺人ロボットやロボットの支配者が現れるという未来を想像してもそんなことは起こらない。それよりも各個人の分身(アバター)が本人に近い思考や感覚も持つようになる。ある意思決定の場面でその分身にシミュレーションさせてその結果を参考に意思決定すれば、失敗は少なくなる。仕事なら有能な秘書として使えるので効率が格段に上がる。旅行や出張が面倒なら分身を派遣して、旅行感覚を味わえるし、出張先のしごともこなせる。ということでAIは想像以上の新しい世界をもたらす可能性がある。とシンギュラリティと正反対のバラ色の世界である。

ここでいくつか疑問がある。本人(本体)と分身(アバター)の自己同一性はどうするのか?個人が同時に違う場所に存在することになるのか(統合失調症)。本人が生物学的に死んだあと分身はどうなるのか(現在のWeb上の消えないデータ問題)。今現在のAIが持っている「縦割りの対応」をどう統合するのか(これは「マスターアルゴリズム」で解決するらしい)

シンギュラリティを心配するよりデジタル・ダブルを考えた方がストレスはなくなる。AIの進化、浸透はヒトの脳の進化にも大きく影響しそうである。前頭前野がより複雑豊富になる突然変異がゲーマーの脳(シナプスのDNA)の中で起きているかも。100年後の人類は、現在の我々を新しい種として分類しているかも。

日経サイエンス2018.12