体感的ボリューム感とネット通販

先日のインタビューでの発見。

いわゆる最寄り品をネット通販で買うというタスクを与えて、普段通りにPCサイトを使ってもらった。対象者は商品として「はちみつ」を選んだ。「今、ちょうど切れそうなので何かいいものがあれば買いたい」という状況であった。リエゾンインタビューだったので隣にもうひとり対象者がいて会話しながら検索した。(完全に日常の状態ではないが他人がいることで自分の行動=検索が客観視できる)

ネット通販で困るのは、買ったことがないものを注文すると届いた時に「あれ、こんなに小さいの?2つ頼めばよかった」ということだという。結構、頻繁に遭遇するらしいが、ネット通販はそういうもの、との納得感ができていたのでネット通販にネガティブになることはないようだった。はちみつは内容量が表示されているので注意深く見ていけばボリュームは確認できるが、観察していてわかったことは、消費者は300gという表示(数値)から実際の現物のはちみつのボリューム感をうまくつかめていない様子であった。生産者や流通に関わっている人なら数値が現実のボリュームと一致するのだろうが生活者はそうではないようである。数値ではなくパッケージの写真でボリュームを想定していた。サイトの商品写真の多くは妙にアップになっていたりするのでボリューム感を大きい方に誤解させる。また、個別の写真なので店頭の棚のように隣の商品と大きさの比較もできない。

そこで便りにしていたのがパッケージの形態、フォルムであった。びんか注ぎ口が長く伸びたビニール製かで分け、びんなら大中小のサイズ感を認知しているし、ビニール製もサイズ感がつかめていた。その時、気づいたのは家庭内のサイズ、容量は数値ではなく容器形状で判断されるているという事実である。「砂糖、大さじ2杯」であり、「大さじは何グラムか、山盛りか、すり切りか」まで問題にするのは料理の素人か、科学実験を職業とする人ぐらいである。

こういった体感的な認知を考慮した製品開発も必要であろう。消費行動の観察は多くのインサイトをもたらす。

定性調査をもっとやりましょう。