喪失

今年の正月2日に子宮体がんで妻を亡くした。

確定診断から14ヶ月。

その時から死を覚悟させられたので上下の振動はあるもののこころは平穏だった。

妻の心の動きはわからなかった。

人生の振り返りや死、死後の世界の話しはついにでなかった。

ロスがいう拒否から始まる葛藤も見ていて感じられなかった。

劇的なものはなにもない。

葬儀、四十九日、納骨、そして新盆、これで儀式は完了。

彼女の人生が満足できるものだったかどうかはわからない。

不満はたくさんあったろうが、人生に満足かどうかを考えない人だったのでは。

長い夫婦は空気のような関係というが、空気がなくなるのだからそれは息苦しい。

その息苦しさは今でも間歇的に湧き上がる。

でもそれは妻を失ったからではないのではないか、と疑う。

これから先、全てを失っていく。

それが息苦しい。