FGIのバンドワゴン効果

バンドワゴン効果を集団の同調圧力と解釈する前提(池谷裕二さん)で話を進める。醤油ラーメンを食べようと思ってラーメン屋に入ったら、その店は塩ラーメンが有名らしく。周囲を見てもみんな塩ラーメンを注文して美味しそうに食べている状況で、当初の予定通り醤油ラーメンを注文する人は少なく、塩ラーメンに変更する人が多い。これをバンドワゴン効果としている。(行動経済学の定義と少し違うようだが)言い換えれば、ラーメン店というバンドワゴンの乗ったら、その大多数のメンバーの「同調圧力」に従って行動(ブランド選択)する。ということ。

この同調圧力バンドワゴン効果)をうまく使うのもモデレーションテクニックのひとつである。FGIでは、あるブランドのユーザーをひとつのグループとしてリクルーティングすることが多いので、その集団は最初からバンドワゴン効果も持つことになる。そのブランドを褒める意見が主流となり、よい評価の方向の集団圧力が観察される。このバンドワゴンの同調圧力を盛り上げる方向でモデレーションすることでブランドのインサイトの発見につなげられる。ただ、分析ではこのバンドワゴン効果を差し引かないと実態以上のブランドロイヤリティをみてしまう。

もうひとつ、集団両極限化現象といえることが観察できることがある。これは、集団で討議すると各メンバーの評価・意見が個別では平均的であったものが討議が進むとどちらか(プラスマイナス)に極限化することを言う。例えば、競合メーカーが価格攻勢をしかけてきたときの戦略会議で、当初は穏健な意見が多かった会議が、終盤では「徹底抗戦」か「放っておく」の両極のどちらかの意見(結論)に偏ったり、抗戦派と厭戦派に二分されたりする。FGIの現場では2つのグループで結果が正反対になる現象がある。Aグループでは受容性が高いのに翌日実施したBブループでは完全否定されてしまうというような状況である。しかも受容と否定の理由に大差がなかったりする。こういったときはこの「集団両極化現象」が起こったと考えてみることが重要になる。

今までは、「グループダイナミックス」とひとくくりにしてきた人が集団を作ったときの認知の偏り、認知バイアスをもっと精確に計測するようにしたい。