心は強い! 心理学的免疫システムはサイコパスではない

第24弾。「持続時間の無視」「インパクトバイアス」は心理学的免疫システムと説明されるようだ。試験に落ちたら、カレ(彼女)にふられたら、自分は相当なショックを受けて容易に立ち直れない。と思い詰めていても、実際に試験に落ちたり、ふられたりした時のショックは予想より小さく、予想より早く立ち直るらしい。生きていくためにはありがたい認知バイアスではある。でも中にはそれがきっかけでマイナス思考が継続して心を病んでしまう人もいる。そういう人はこの免疫力が弱いのだろう。また、試験に落ちたら、ふられたら、オレ(私)は死ぬと周囲を巻き込んで騒いでいた人がその場面で平然とし、すぐに立ち直るのを見ると騙された気がするが、この免疫システムが働いたと思えば、腹立たしさも減る。

MR的こじつける。FGIなどで「この商品がなくなったら困る。買うものがなくなる」と言っていた消費者が、棚からその商品が消えたことにも気づかず、平然と違う(ライバル)商品を買っている場面が想像できる。MRで将来の意識や行動を精確に取ることはできないとはわかっていても購入意向、継続意向を聞きたくなる。リサーチャーの宿命か。

心理学的免疫システムは「自分の死」でも働くのか、死ぬのは怖いし、イヤだし、もし医者から余命宣告を受けたら「自殺」してしまうかもしれないと取り乱していても実際に医者から「もう、有効な治療手段はありません。緩和ケア病棟へ」と宣告されても案外、平気でいられるようである。本人はショックなのだろうが、事前に予想したより淡々としている。あとは死ぬ瞬間にもこの免疫システムは作動するのかな。死んでしまうのだから「継続時間の無視」は考えられないか。

池谷先生の最新本で、死ぬ瞬間の脳の活動が記録されたとの記事があった。手元にないので不正確だが、最終的に数秒間、ガンマ波?が記録されるそうだ。ガンマ波は脳全体が最大限の活動をする時に出るらしい。臨死体験もこれだろうし、古い表現の「走馬灯のように」も案外正しい例えなのかもしれない。