先行刺激(プライマー)を調査し、後続刺激(ターゲット)の処理促進

第23弾。「プライミング効果」は、先行する刺激(プライマー)によって、後続刺激(ターゲット)の処理が促進または抑制される現象。脳科学的説明(作用機序)もわかっているらしい。池谷先生は、記憶力テスト(単語の思い出し)で心理テストと宣言してからと、記憶力テストと宣言して実施する2グループの結果を比較する例をあげている。結果は、記憶力テストと宣言されたグループの高齢者の成績が有意に悪くなる。「歳を取ると記憶力が悪くなる」という認知(プライマリー)によってターゲット(記憶再生)の処理が抑制されたわけである。老人というコトバを聞いたあとでは、老人のように歩くし、ゆっくり歩いたあとは老人というコトバへの反応が高くなる。ということでこの反応(効果)は無意識のうちに起こる。

マーケターは無意識にこのプライミング効果を使っている。「香り高い淹れたてコーヒー」とうたった店や商品は香りがよく、美味しく感じる。塩分のとりすぎは生活習慣病につながるという認知が世の中で成立したとの調査結果あれば、減塩を訴求すれば良いし、そういった認知が否定されれば、減塩以外の点を訴求すればよい。

マーケティング的に先行刺激をコントロールすることができない(コストと時間がかかりすぎる)場合が多いが、現在、どのような先行刺激(いわゆるトレンドでもいい)があるかを調査しておけば、後続刺激(マーケティング施策)を有効に効率的にコントロールできる。