クラスター錯覚で分析を楽しめ!

第21弾は「クラスター錯覚」これも結構、深刻な問題をかかえていそう。人の脳はランダム、無秩序を認めたがらず、なんらかの規則性やストーリーを作り出しやすい、という傾向(クセ)を持っている。特に同じものの集合や連続(クラスター)に注目しやすい、というものである。勝敗記録(◯と☓)を乱数発生器で作って、連続20個くらいを見せると「調子のいい時期、不調期」などのクラスターや「前半は頑張ったのに、後半は良くなったのは」とかのストーリーで解釈したがるのである。完全な無秩序やランダムネスは「不安」や「無能のレッテル」に結びつくので、クラスター錯覚やストリー性への固執は感覚的にはわかる。

ここでMRでよく使われるクラスター分析だが、ソフトはまず、ランダムネスのチェックを行ってから分析を開始して欲しいが、多分そうなっていない。人間が作ったソフトだから、無理やり(と言うか自動的に)クラスターを作っているのではないかと思う。分析結果の解釈は人が行うが、ここでストーリー性を考えないと分析は進まない。クラスター分析の弱点は、その再現性の弱さにあると思う。だから、アドホックにしか使われない。トレンド分析に使えるようなクラスターは、デモ特性など固定のものに限られるようである。ビッグデータ機械学習はこのあたりの解答を出してくれるのか。

ともあれ、MRの分析には、クラスター錯覚やストーリー作りの傾向は必須かもしれない。施策的にアプローチできないクラスターや現実離れした消費行動のストーリー(仮説)をつくらないように注意しながら分析を楽しむ。