傀儡を多く集めて神の意思

第20弾は「アドバイス効果」人は知らず知らず他人の意見・評価に影響され、影響されたことは認識できず、自分独自の意見・評価だと思ってしまう。池谷先生は「人の知性は傀儡」とまで言っている。アイデンティティの危機とも言えそう。バンドワゴン効果と違って雰囲気ではないので一層「こわい」印象である。他人の表現をそのまま真似ることは幼児でなくてもよくある。先日のクソ暑い日の朝のミーティングで「暑いですね」の挨拶に「こりゃ、死人が出ますよ」と答えたら、次に入って来た人の「暑い」の挨拶にそっくりそのまま「こりゃ、死人が出ますよ」と返事した若者がいた。発言の本人が目の前にいるのだから「と、◯◯さんがさっき言ってましたよ」とのフォローがある方が自然だと思う。こういったモノマネでコトバや知識を積み上げていくのが人だが、アドバイス効果は点数評価で観察できる。点数評価は客観的という先入観があるので、自分は他人の評価に影響されないと強く思うのかもしれない。

正確ではないが、MRではデルファイ法がこのアドバイスス効果を意識的に使っているのかもしれない。他人の評価を参照しながら評価・予測を数回修正することで、案外、正しい予測値に落ち着く、というのがデルファイ法だと思う。傀儡の知性も数多く集めれば「神の意思」に近づく。MRの知性の本質はこれではないか。感覚的には平均値、中心極限定理も、と思う。平均値を示すサンプル1個を取り出すことはできるが、そのサンプルの背後には一番大きな山を形成する数多くのサンプルの集合がある。