後知恵バイアスはバイアスか

池谷裕二先生の『ココロの盲点』ネタシリーズの第5弾。今回は後知恵バイアス。ことが起こってから振り返ると「前もって予測できた」「本当なら実行できたのに」と思いがちなのが人間です。例にあがっているのは、遅刻しそうになっていつもと違う道を選んだら、工事中で遅刻してしまった。という状況での感情は「しかたない」ではなく「いつもの道を行けばよかった」になるというものです。

自分の行動に関しての後知恵だけでなく、社会現象、マーケットの現象でも後知恵バイアスは観察されます。(本来的には池谷先生の言う後知恵とはちがうかも)トランプが選ばれてからは自分も「そうなる可能性はあった」から時間がたつと「オレはそうなると選挙前からわかっていた」と変化する自分の意見・思いに気づきました。

消費者調査でもヒット商品については「私はヒットすると思っていた」と発言する人(対象者)が多く、更にはその理由まで述べることがあります。その理由は「聞きかじり」が多いのですが。我々としては、何故、あなたはこのヒット商品を買ったのかを本人の意識や心理にもとづいて聞き出したいのにステレオタイプの後知恵が邪魔して「そんなこと当たり前じゃない」以上の発言が引き出せません。マーケットで起こっていることの解釈は全て後知恵バイアスと言えるかもしれません。

マーケティングでは「自分ごと」になっていないとして一般論に逃げ込んだ消費者をなんとか「自分ごと」として捉えてもらって、後知恵バイアスを避けようとします。その他、アウラが開発した「メタファー法」も後知恵バイアスのステレオタイプから消費者(対象者)を救い出す方法です。

まあ、「確率思考」を身につければこの後知恵バイアスは簡単に解消するのですが、やはり、人は確率思考が苦手なのでしょう。