ペルソナにしばられる

ペルソナに基づいたマーケティングを企画していると非常に「不自由」を感じることがある。ペルソナが、わがままで頑固な上司のようにふるまってこちらの自由な発想を頭から否定してくるように感じるのだ。「ここはこの方向で行きたい」と考えるのに「イヤ、ペルソナはそんな方向性には見向きもしない」と否定される場面である。

ペルソナは演劇用語がその起源らしいが、まさにかぶったペルソナ(仮面)が俳優の演技をがんじがらめにして俳優の創造性を奪うことになる。

こういう事態に陥ったときは、まず、ペルソナビルドに失敗していることが多い。

 ・ペルソナビルドを「何に使うか」の目的があいまいだった。

 ・調査データやモデルにこだわり過ぎて、マーケティング要素が足りていない。

などの場合が多い。

ペルソナビルドの最初にこのペルソナはどんなマーケティング場面のどこまで使うかを確認・合意しておかないとペルソナがモンスターになってしまう。製品開発に使う目的で作ったペルソナを異なるジャンルの製品のプロモーション企画には使えない。

あくまでもペルソナはマーケティングに使うのだから、マーケティング要素は網羅しておく。それなのに「人物像」を作ることに関心が強くなりすぎて心理・性格要素ばかりで、ペルソナがマーケティング場面でどう振る舞うかがわからなくなる。ペルソナはマーケティングの舞台で生き生きと演技してもらうようにしたい。

まったく「しばり」のないペルソナは意味がないが、がんじがらめになる印象が強かったら、ペルソナを再構成すべきである。このへんの匙加減は難しい。