マーケティング的プロービング

アウラでは、インタビュー調査のプロービングに以下の5つの方法をあげてきた。

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この原則に大きな変更の必要はないが、プロービングする側(モデレーター)のスタンスに違いがあることを考える必要がある。

モデレーターのスタンスが、カウンセリング的立場か、マーケターの立場かでプロービングの内容が大きく変わり、インタビュー結果(分析)にも違いが出てくる。

プロービングはぼんやりした対象者のコトバや意味を再質問によって明確に確定的にするために実施される。「ホンネ」を引き出すためというようなことも云われる。

このホンネは、タテマエと対峙されるより、(無意識の)ウソや意識に登らない感情や認識という意味である。だから、個人の心理的な深層を探るためにプロービングが使われる。

しかし、我々はカウンセリングではなく、マーケティングインタビューを行っている。個人の心理より、マーケットの心理に関心があるのである。

だから、プロービングも、もっとマーケター視点で行われるべきである。

個人の心理的視点とマーケティング視点でのプロービングの違いは、

<ブランド選択理由の質問に「安いから、Aにした」の回答に>

個人の心理にフォーカスしたプロービングは、

 ・これは、とりあえず思いついた一般的な理由で、ホントの理由は別にある。とし、

 ・ホントの理由を気づかせるのがプロービング。となる。

とうことで、「安かった以外にAが良かった点は?」「あなたは他の商品も安ければいいと選ぶのですか?」というように個人の中に答えを求めて行く。

一方のマーケティング的視点のプロービングは、

 ・安かったという事実を有効なマーケティング情報として受取って

 ・安かった状況を詳しくプロービングする。

だから、「どれ(B,C)よりいくら安かった」「Aがいつもより安かったのか」「一緒にPOPなどはあったか、マネキンはいたか」とマーケットの状況を明らかにするという意思のプロービングになる。

インタビューの状況のため、1on1インタビューは個人の心理にフォーカスしやすく、FGIでないとマーケティング視点のプロービングはやりずらいと考えがちだが、どちらのインタビューでもマーケティング視点のプロービングは重要である。