プロービングは活性化のために

プロービングと尋問は「似て非なるもの」
プロービングは「正しい」回答に収束させるためだけでなく、発散させる方向性もある
という2点はすでに書いた。
今回は、「時間的、空間的拡がりをうながす」プローブテクニックについて。
時間的な広がりを促すプロービングは使いやすい。
例えばビールのインタビューで「スーパードライが、大好きなんです」という発言に
『いつから?』とすぐ返せるし、『飲み屋でもスーパードライ?』と状況とからめた質問が返せる。
「大昔からスーパードライ」の回答には、『○○の発売はいつ頃だっけ?』と対象者の記憶違いかもしれないというプローブにも使える。
時間は、過去だけでなく未来にも広がっているが、過去は答えやすく、ある程度正確だと考えられるが、未来のことは、本来誰にもわからないし、回答もいい加減になる。
『お子さんと一緒に飲むようになってもスーパードライかな?』という質問は、時間的な拡がりよりも現在の「スキの強さ」を計るプロービングとして使うべきである。

スーパードライが好き」という回答に『スーパードライのどんなところが好きですか?』というプローブは、得策ではない。
調査テーマとしては、そちらの方向のプローブが期待されているのだろうが、これは対象に分析的思考を強いるので、後半にやるべきプローブである。
時間・空間を広げるプローブは自分の体験に基く回答なので対象も答えやすい。
だから、会話のきっかけとしての効果も大きい。
いつ頃からスーパードライが好きになったかどうかはテーマでなかったとしても、対象との会話をスムースにし、対象の関心を過去にも広げることで追い込むプローブではなく、発散させるプローブができる。

プロービングはインタビューをテーマに収束させるだけでなく、発散させる効果も期待するべきである。
そこから、発見のあるインタビューが出来上がる。