メタファー法

モデレーションをやっていてイライラするのは対象者のステレオタイプな反応である。
「もっと自由に、少しブッ飛んでもいいから」と促したくらいでは何の変化もない。
世間の常識、自分が得ている情報、テーマに対する関心度、関与度などの制約があるのは理解している。
ヒトにはいろいろな認知バイアスがあるのも勉強した。
でもこのインタビューではインサイトを発見したいのだ。
それなのに常識的で陳腐な発言だけでは報告書が書けない。と焦りが募る。
例えば、
ベンツのイメージで「高級車」とか「ドイツの職人魂」とか言われても「ウーン」でしかない。
ここから一歩も出れずに焦燥に包まれてデブリーフィングに向かうモデレーターには同情を禁じ得ない。

この状況を打破する一つの方法論にアクティブインタビューでのメタファー法がある。
ザルトマン『心脳マーケティング』にヒントを得て開発した。

まず、意味のない写真を数十枚対象者の前に用意する。
そして、ベンツをイメージする写真を数枚選ばせる(コントロールでBMWやレクサスでも同じことをする)
次にベンツやBMWのことは忘れて、選んだ写真だけに集中させる。
そして、写真の世界観を語らせる。
語り終わったら、写真や今のストーリーがどうしてベンツに結びつくのか語らせる。
以上でメタファー法は終わりである。

こうすることで、
対象者は、写真を説明するためにいろいろなメタファーを駆使する。
駆使したメタファーは深層心理でベンツイメージと結びつている(プラスマイナス両方で)と仮定する。
それを改めて言語化することで「気づき」や「発見」が生まれる。
のである。

対象者への心理的負担も少なく有効な方法である。(対象者の多くは楽しんでやる)
企業内のワークショップにも使えると思う。