利用可能性ヒューリスティック

『ココロの盲点』池谷裕二認知バイアスの第一番目に「利用可能性ヒューリスティック」があげられている。

ヒューリスティックは、カーネマンの言う「システム1」の思考・行動で、反応が早い。
その分、論理性を犠牲にするので「間違い」やミスが入り込みやすい。
利用可能性は、手じかにある記憶や状況の方が使いやすいということですぐに使ってしまう。
事前にテストや検討をするというようなことはしない。
早い反応のためには必要なことである。
記憶でいえば、利用可能性が高いのは直近の記憶である。
そして記憶は、思い出すごとに強化されるということである。

この利用可能性ヒューリスティックはリサーチ(インタビュー)の場でも大きなバイアスとなる。
インタビューの前半でインフルエンザや肺炎の話をさせ、予防接種で症状が軽くなったと言うような体験談が出た後で、予防接種の意向を聞けば、当然、意向率は高くなる。
これを防ぐには、事前情報なしで(インタビューの最初の時間帯に)接種意向を訪ねてからインフルエンザのハナシに入るという方法もあるが、現場ではこのバイアスを積極的に活用することの方が多いと言える。

認知バイアスには相当数の種類がある(池谷さんの本では180という数値がある)ようだが、ひとつひとつのバイアスは厳密には区別できないのではないだろうか。
この利用可能性ヒューリスティックも「確証バイアス」とうまく区別できないことがある。